修理の仕事は、まず「調べる」こと
「このあいだは、教科書で見たことのある、あるお寺の襖絵(ふすまえ)を修理しました。『教科書で見た作品だ! 』と感動しましたが、失敗は絶対に許されません。修理の大切なステップの裏打紙をはがす作業では、1日2〜3センチしか進まない日もありました。でも作業しながら、過去のそれぞれの時代にさまざまな方法が使われていたことがわかったりして、自分も歴史にふれていることを実感しました」
木下さんは現在、先輩の修理技術者といっしょに絵画の修理をしています。修理の仕事は、まず作品の調査から始まります。
一人前になるには10年かかるけれど…
「紙をはがす作業にしても、ここまででやめなくてはいけないとか、自分では判断が難しいことばかり。先輩の仕事を見ながら少しずつ覚える職人の世界だということを、実感しています。入社したとき、一人前になるには10年かかると言われましたが、この技術の本当のすごさがわかってきたのは、ここ1〜2年。大学の同級生の中には、もう部下がいる人もいますが、この仕事は100年先に結果を見られる責任の大きなもの。100年後に『なんやこの修理』と言われないために、もっともっと技術を磨(みが)きたいと思います」
人類の宝物を永遠に残すために、理系の知識も活躍!
「ところで、修理には理系の知識が重要です。『はがれた部分をくっつけるにはどうすればいいか』を保存科学の専門家に相談する時も、化学的なことを理解していないと、くっつくことはくっついても、できあがりが本来の作品と全く違ってしまったり、この先の長い年月はもたなかったりするおそれがあります。芸術性への深い理解や歴史の知識とともに、理系の知識をもっていれば、より良い仕事ができると思います」
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