研究者は探検家?!
「研究者」って、どんな仕事をするのでしょうか。毎日新しい発見や発明をしているの? 成績がよくないと研究者にはなれないの? 東京工業大学で、経済の現象を新しい科学の方法で研究している高安さんに聞いてみました。
研究者は、探検家のような仕事だといえます。地図もない無人島の森の奥にうまっている人類の知の「宝」を探すのが研究者の仕事です。地図がないのですから、新たな宝までの道は研究経験とカンで探ります。宝が発見されると、宝を見つけた研究者は論文を書いて、世界に報告します。これは、自分が見つけた宝までの道順とどんな宝かを書いた地図のようなものです。その地図を見ながら別の探険家(研究者)たちがその宝が本物か調べに来ます。そして、宝までの細い道ができてきます。宝が本物なら、宝の中身がくわしく調べられ、道はだんだんふみ固められ、近道もできてきます。そのうちに、宝まで簡単明快に解説された専門書が書かれ、だれでも手軽に勉強できるようになります。つまり、高速道路も作られてきます。みなさんが今、中学校で習っている理科や数学は、むかしの科学者たちが苦労して切り開いた道が、きれいに舗装(ほそう)されて、道案内をつけたようなものなのです。
このような研究者の宝の発見が、世界に広まると、いろいろなところでその成果をつかった新しい技術やものが生まれてきます。そして、その技術やものが十分に世の中の役に立つことがわかってくると、企業でそれらを使った製品が開発され作られます。そのうちその技術や商品が画期的で欠かせないものということになれば、世の中に広く出回り、当たり前のように人間の生活の中で使われるようになります。つまり、最先端の研究者の発見が積み重なって、社会全体が豊かになっていくのです。
「未来のタネ」を探して育てる仕事
宝探しに夢中の研究者が、最先端で行っている研究は、一見ふつうの暮らしをしている人間の生活とは関係なく、むだのように見えるかもしれません。実際、せっかく宝を探しても、何も見つからないで終わってしまうこともたくさんあるそうです。しかし、宝がどこを探してどのように見つからなかったのかということを記しておくことも、とても大事なことです。そのとき、見つからなくても、もっと観測技術が発達した未来に、見つかる糸口になるかもしれません。研究者の仕事は、私たちの生活時間を考えたら、それよりはずっと長い将来を見すえた視点があることが大切です。研究者が今行っている研究は、社会を大きく変えるような「未来のタネ」がひそんでいるのです。
高安さんが研究している分野は、今までの科学では説明不可能だった、たくさんのものが複雑に相互作用する現象を数式で書きくだし、その性質を解き明かすことです。このような研究は近年急速に発展してきました。その応用は、ロボットの制御(せいぎょ)から遺伝情報の解読、異常気象、地震現象や株価の変動の解析など、いろいろなところで研究されています。
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