飲み込んだカプセルが、からだの中で写真を撮る
木許(きもと)さんがつまみ上げた小指の先ほどの小さなカプセル。その中には超小型カメラが入っています。飲み込むと、のどから胃、腸へと進みながら1秒間に2枚ずつパシャパシャと写真を撮ります。そして、それを画像データとして体に身に付けたアンテナを介(かい)して受信装置に次々と無線で送ってきます。患者さんは、その間ふだんと同じ生活ができます。
そして、約8時間かけて約6万枚もの写真を送信し続けたカプセルは、最後には大便といっしょに肛門から排泄(はいせつ)されます。受信装置にたくわえられた画像データは観察用のパソコンに転送され、モニター画面にリアルに映し出されます。
体を切らなくても、胃腸のようすが診断できる
「おや、ここが腫(は)れている」
「ここから出血していますね」
医者は、おなかを切り開かなくても、胃腸の中をくわしく診断できるというわけです。これが、木許さんたちが作った「カプセル内視鏡」という検査機器です。
チューブのない内視鏡を作ろう!
カプセル内視鏡の本体は、真っ暗な小腸の中を照らす「照明」、撮影(さつえい)する「カメラ」、撮影した画像を電波で体の外に送信する「無線装置」、それらを動かす「電池」の4つがパックになっています。これらをまとめて、人が飲み込めるサイズにまで小型化するにはどうすればいいのか、一つ一つがゼロからの挑戦でした。
「特に大きな問題は電力でした。カメラが8時間も写真を撮(と)り続けるためには相当な電力が必要ですが、カプセルに組み込める電池の大きさには限界があります。いかに省エネで動かすか、たくさんのテストを繰り返し、たくさんの課題を一つずつ解決していかなければなりませんでした。でも、それを乗り越えて、できないことができるようになった時の大きな達成感は、何にもかえがたいものでした」
あきらめずに続けたからこそ…
2005年秋にヨーロッパで行われた医学会に初めて商品を展示し、木許さんも参加。世界中の医師や医療にたずさわる人たちからたくさんの祝福の言葉を贈(おく)られました。「エンジニアとして、あきらめずに続けてきて本当によかった、と思いました」
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