エアバッグの形ができてきた
ライダーの前にエアバッグを開かせるには、スペースが必要です。そのために、ハンドルやガソリンタンクの位置や形も検討されました。安定してライダーを受け止めるために、エアバッグの形はV字型にしました。強い衝撃を支えきれるように、エアバッグをベルトで車体につなぎました。そうやって、次第にバイク用エアバッグの形ができあがっていったのです。
エアバッグの“頭脳”をつくる!
小林さんが、研究員メンバーとして二輪車用エアバッグの開発チームに加わったのは、新入社員だった2002年のこと。担当はシステムの「頭脳」部分。衝突を感じ取ったセンサーから送られてくる信号を瞬時に判断して、エアバッグに「開け! 」と指示を出す装置の研究でした。
エアバッグ開発中の小林さんは、実験とその結果の分析に没頭(ぼっとう)する毎日でした。たとえば、クルマとバイクを衝突させる実験。どの角度からビデオを撮影するか、どの位置にセンサーをつけて、衝撃の大きさを測るか。すべて自分たちで考えなくてはなりません。実験結果が出たら、今度はその数字が何を意味しているのかを考えるのがたいへんでした。
時間とお金のかかる衝突実験ですから、そのデータは貴重です。でもそこで得られる膨大(ぼうだい)なデータから、役に立つ情報を探し出すのは、まるで謎解きと宝探しをいっしょにやるようなもの。それこそ、時間を忘れて数字とにらめっこです。数字のデータだけでなく、映像を何回も見てぶつかる時の動きを確かめます。安全なものしか世の中に出せない、責任の大きな仕事なのです」
バイク好きの僕だからこその、夢
二輪車用エアバッグの技術は2005年に発表され、エアバッグを装備したバイク「ゴールドウイング」は、2006年にアメリカで、2007年には日本で発売となりました。
後日アメリカからメールが届きました。―「ありがとう。エアバッグのおかげで命が助かりました」とお客様がおっしゃっているとのことでした。
「本当は事故がなければいいのですが、助かったというニュースは、やっぱりうれしかったですね。でも、究極の夢は“ぶつからないバイク”です。バイクの爽快(そうかい)さを失わないで実現させたいですね。自分がバイクが大好きだからこその夢です」
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