手作業の50倍のスピードで地雷を除去する
この地雷を除去するマシンを作ったのが、ブルドーザーなどを作っているコマツです。がんじょうなブルドーザーで、地雷を掘り起こして爆発させていくしくみで、スピードは手作業の25〜50倍の速さ。しかも、くまなく土地を掘り起こせるので、2〜3日で1ヘクタールもの地雷原(地雷が広範囲に埋められた地帯)から地雷をなくし、安全な土地に変えることができるのです。
「安全地帯」を作り出すことで、村づくりを手伝っていることを実感
柳樂さんはこのマシンの企画を担当し、今は、地雷が埋められている国へ導入する仕事をしています。
「対人地雷除去機が土けむりをあげて作業をしていると、地元の人たちが待ちかまえていて、マシンが通った後にすぐに種をまいていく。そして半年後には一面にきれいなキャベツ畑ができるんです。もう、感激の一言ですよ」
このマシンの導入は、アフガニスタン、アンゴラ、カンボジアと3か国。今そのカンボジアでは、日本地雷処理を支援する会(JMAS)という日本の支援グループ(NPO)といっしょに、新しい試みにも取り組んでいます。地雷を取り除くだけでなく、現地の人にマシンの操縦や手入れや管理の仕方を教えて、その人たちに技術移転をしたり、働く場を作ることにもなります。そして、地雷を取り除いて安全になった土地に、畑を作り、ため池を掘り、道路を作り、学校を建てて、安心して住める場所を作る「村づくり」もするのです。
現地の人に、仕事をわかってもらうことのたいへんさ
でも、最初はなかなか大変でした。現地の人たちは、なぜJMASやコマツの日本人が来ているのかわからなくて、手伝おうとする人もほとんどいなかったのです。
「機械のことも何も知らない人に、使い方を教えるわけです。絵を描いて、簡単な英語で教えるのだけれど、複雑なことは伝わらない。スケジュールを説明する時も、いろいろ言ったらわからなくなるから、1つのことしか言えない。日本人のように仕事優先ではないし、安全に対する考え方も違います。たとえば、こういうマシンの訓練に、日本人なら当然くつをはいて来るけれど、こちらの人はサンダル。そこから教えないといけない。怒りたくなると日本語で怒っていました」
技術者だからこそできる、国づくりのお手伝い
「でも、ある時、建設中の学校の校庭に、牛がわーっと入ってきて困ったことがあったんです。すると、最初は気ままに見ていた人たちが、くいを打って牛が入らないようにしてくれたんです。自分たちのために働いているとわかってくれたんですね。」
「地雷除去の作業が終わったら、マシンは部品をはずしてブルドーザーになるので、道路の整備ができます。子どもたちが安心して道路を歩き、うれしそうに学校に通うようすを見ると、まさに技術の力で国づくりのお手伝いをしているんだ、と実感します」
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