日本にいる時も大事な仕事がある
コマツの作った対人地雷除去機は、地雷を取り除くだけでなく、爆発にそなえ運転席には防弾カバー、遠隔操作のためのラジコン装置、破片を回収するしくみ(オプション)など、安全技術のすべてを結集したものです。特注品なので、日本から運ぶ輸送費、交換用の部品代、修理代、運転する人を教育する手間などを合わせると、1台1億円くらいかかります。けれど、地雷で困っている発展途上国の村にそんなお金はありません。
そのためふつうは、日本の政府が買って相手国に供与するという方法が取られます。機械による地雷除去が安全でかつ効率の良いことをより多くの人に判ってもらうことも、柳樂さんの日本での大きな仕事の一つです。
世界70ヵ国で活躍させるのが夢
「アジアやアフリカなどの現場にも、多いときには1年間に100日近く出張したこともあります。現場は朝が早いので、5時には起きて、車ででこぼこの道を2時間近くかけて行きます。作業現場ではいろいろ調査や視察をしますが、現場で一番大事なのは事前にトイレに行っておくこと。公衆トイレなんてどこにもありませんからね! それにしょっちゅう停電するので、パソコンを使う仕事はやれる時にやっておかないとダメ。優先順位をつけて早め早めに仕事をかたづけるクセは、ここでつきました」
1日のタイムスケジュール
お仕事豆知識
悪魔の兵器
地雷の中でも対人地雷は、敵を殺すのではなく、ケガをさせるために作られました。兵士がケガをすれば他の兵士はそれを助けようとするし、治療に手間や費用もかかるので、敵は戦力が落ちます。それがねらいなのです。
しかも地雷は、100円〜1000円で簡単に作れるので大量に作って埋められ、兵士だけでなく、子どもや老人、家畜まで犠牲になります。金属探知器に反応しないように、プラスチックやセラミックなどで作られたものや、子どもがさわりたくなるように、わざとかわいらしい形に作られたものもあります。そのため「悪魔の兵器」と呼ばれ、恐れられているのです。
地雷は戦争が終わっても埋められたままになっています。どこに埋まっているかわからないので、その土地は放置され荒れ放題になります。民家近くや畑などに地雷が埋まっている場合は、危険とわかっていても、そこで生活するために、地雷原に入らなければなりません。子どもたちは学校へ行く途中や、水汲みの手伝いをしているときに、よく地雷を踏んでしまいます。ケガがひどくても、生活が苦しいので満足な治療は受けられません。
このような地雷の被害の深刻さが問題になり、対人地雷だけでも無くそうと、1997年に対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)が結ばれました。日本もこの条約に参加し、対人地雷除去機を輸出できるようになりました。しかし、アメリカやロシア、中国など、この条約に参加していない大国もあるため、地雷をすべてなくすることはまだまだ難しい問題です。地雷を使わないことを決めるのは国際政治の問題です。けれども、使われてしまった地雷をなくしていくことができるのは、技術の力なのです。
お仕事ルポ
カンボジア。村の小学校のすぐ横が地雷原。子どもたちは危険と隣り合わせで生活していました。
当時の学校の様子。
サッカーをしているすぐ隣は地雷原でした。
地雷が除去された場所に新しい校舎が完成。運動場もきれいになり、村の人たちが喜んでくれました。
アンゴラ(アフリカ)での活動。
子どもたちが対人地雷除去機に興味しんしんで集まってきました。
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