「コンピュータだからこそできること」を形にする
お客様から宅急便センターやコンビニなどに持ち込まれた荷物は、まずその地域のベースに集められ、そこからトラックで届け先近くのベースに送られます。ベースに届いた荷物は、地域ごとの宅急便センターに送られ、セールスドライバーがお届け先へ運びます。より速く効率よく荷物を送るためには、ベース間の輸送をスムーズに行うことがカギになります。そのため「輸送管理システム」が作られ、高野さんもこれに関わりました。
「現場のリーダーは、いっしょうけんめい効率よく、スピードアップしようとしますが、どうしても自分のベースしか見えないのです。全国にはベースが70ありますから、70分の1しか見えないわけです。でも輸送管理システムを使って3県隣まで見れば、うちの車の空きに隣のこれが載るね、トラック3台走らせていたけれど2台ですむね、と今まで見えなかったものが見えてくるのです。コンピュータでデータを集めて管理するからこそできる効率化です」
輸送をもっと効率化させる「輸送管理システム」は、環境にもやさしい
輸送管理システムには、トラックが高速道路を走行するのにかかる時間や、荷物をどれくらい積めばよいかなどを、きちんと数字で表して組み込みます。こうしておけば、だれでもパソコン画面を見れば、その時々の最も効率よいトラックの運行のしかたや積み荷の量を決めることができます。輸送トラックの台数を減らすことは、ガソリン代の節約だけでなく、CO2(二酸化炭素)の排出を減らせるし、交通渋滞の緩和にもつながります。多くのトラックを使う仕事だけに、環境への配慮も大切にしています。
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お仕事豆知識
「宅急便」は、実はヤマト運輸の商品名
「宅急便」という言葉は、ヤマト運輸が作った言葉です。ですから、ヤマト運輸以外の宅配サービスを「宅急便」と呼ぶのは、実はまちがいなのです。それらのことは「宅配便」と言わなければいけないのですが、「宅急便」という言葉は、それほどすっかり私たちの生活に定着してしまっていますね。
1976年、それまで企業相手の運送会社だったヤマト運輸は、一般のお客様の荷物を運ぶ「宅急便」を始めました。そのころ一般の人が荷物を送る方法は、郵便小包か、国鉄(今のJR)の小荷物扱いだけで、厳重に荷づくりした荷物を郵便局や駅まで持ち込んだり、届いた荷物を駅まで受け取りに行ったりしなければなりませんでした。でも、こんな不便な状況を、当時のヤマト運輸の小倉社長は「たいへんおもしろい」と思っていました。
「なぜなら、競争相手がいないからです。田舎から柿を送っても、東京にいつ着くのかはっきりしない。ここへ参入すれば、必ず成功すると確信しました」。
そして、荷物の輸送に何日もかかっていた時代に、「電話1本で家まで荷物を取りに行きます。安い運賃で翌日には先方へ届けます。荷づくりも簡単でかまいません」というサービスを考えたのです。営業を始めた初日の荷物はわずか11個でした。けれど、その便利さはすぐに世の中に認められ、ほかの輸送会社も次々とヤマト運輸をまねたサービスを始めました。今では、ヤマト運輸の荷物の取り扱い量は多い日で1日600万個、1年間で12億個以上になり、私たちの生活になくてはならないものになっています。
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