放射線を正しく理解し、正しく怖がろう

小島 周二   東京理科大学 薬学部 薬学科
放射線生命科学 /研究領域:放射線生物学、分子生物学、環境科学 ]

今まさに“放射線を正しく理解し、正しく怖がる”というフレーズが日本国民に求められていると思います。と言いますのは、去る3月11日に起きた東日本大震災により、福島原子力発電所(原発)も大きな被害を受け、原子炉の冷却装置が停止、現在も復旧されていない状態であるからです。

原発事故発生2週間後には、核反応による発生した放射性ヨード(I-131)やセシウム(Cs-137)が関東一円に飛散、露地野菜や水道水等にも混入、日常生活も阻害(そがい)される事態にまで至りました。また、テレビや新聞等のマスコミには連日専門化による現在の放射線(能)量が人体へ悪影響がないことが報道されています。世界中の多くの人達は、「“放射線は五感で感知できず、得体の知れない怖いもの”であり、これに被ばくすれば直ちに死んでしまう、そうでなくとも数年後にはがんになってしまう」と考えているようです。ですから、些細(ささい)な風評にも右往左往(うおうさおう)する人達が後を絶ちません。

今日もなお、核燃料棒のメルトダウンも危惧(きぐ)され、我が国のみならず世界各国にも恐怖心を与えています。これまで大学で放射科学を担当してきた私自身も、学生に教えてきた原発事故がよもや我が国で起こるということは想像もしませんでした。一方で、今回の原発事故により、我が国の放射線(能)に関する教育の貧弱さ、同時に今後の啓蒙(けいもう)教育の重要性を改めて思い知らされました。

私達が大学で養成する医療人の一員である薬剤師には、とりわけコミュニケーション能力と問題解決能力が求められます。このためには、医薬品に関する専門知識はもちろんのこと、幅広い科学に関する知識と教養が必要です。多くの学問を“正しく理解し、修得する”ことにより、多くの難問にも対応できるからです。学問には無駄はありません!
最後に被災された生徒さんに詩を送ります。

  エイプリルの語源は花開く
  君の心も希望に向かって開く
  女神が悪魔を追い払い
  時と光を運んでくれた
  きっと待っている
  新しい生活
  新しい出会
  春の光も後押ししてくれる
  皆で一歩一歩あるきはじめよう
  光に向かって・・・・・

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こじま・しゅうじ/1948年生まれ。
学部4年次の卒業研究で生理化学教室に所属、放射性同位元素で標識された化合物を用いて動物体内組織の代謝能を調べる実験に従事した事から現在の専門に入った様です。学生時代は、講義にあまり出ず、専らボランティアに専念したお陰で、第三の目(心眼)を持つ事ができたと思います。ここ数年は、趣味のジョギングを中心に1週間の計画を立てます。

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