学ぶことの重要性~放送大学学長を務めて

石 弘光   一橋大学 名誉教授
財政学

私は、この4月まで10代から90代までの様々な境遇にあって、真剣に学びを続けている学生が在学する放送大学の学長を、4年間勤めてきました。放送大学の学生の皆さんは、誰にも強要されずに自らの意思で学びと向き合っています。おそらく、中学・高校で現に勉学を続けていられる皆さんは、進学を目指しそれなりに受験と言った視点から、学びと向き合っているはずです。時には、受験を除いたら何のための学びかと疑問を感じる時もあるでしょう。

学ぶとは「知の探求」であり、自分の知の水準を高め、より深い教養を身につけることを意味します。いま教室で学んでいることに興味を持てずに、嫌(いや)になる事もあるかもしれません。学校で現に学んでいることは、将来の「知の探求」の機会を増し、また自己のさらなる知の向上のために必要不可欠なのです。いわば基礎工事です。放送大学で学ぶ年配の学生の皆さんには、もう受験の必要は全くありません。そこで学ぶ目的を、未知なこと知らなかったことが解明することに置いています。その結果、これまで分からなかったことが、明らかになった喜びは何物にも替えがたいと異口同音に言っています。学ぶと言うことの本質はここにあるのです。つまり皆さんは学ぶこと自体に、喜びを感じているのです。

若い皆さんは、この境地に達するまでに時間がかかり、また様々な経験をつむ必要があるでしょう。しかしながら、現在学んでいることこそ将来の自己の形成につながっていることを自覚してください。最後にあの著名な物理学者アインシュタイン(Albert Einstein:1879-1955)の次の言葉を紹介しましょう。

“The more I learn, the more I realize I don’t know. The more I realize I don’t know, the more I want to learn.”(学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるかを思い知らされる。自分の無知に気づくほど、より一層学びたくなる)。

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いし・ひろみつ/1937年生まれ。
専門は財政学で、50年近く予算、税制、社会保障、補助金、地方財政などの政府の税制活動の研究をし、講義を担当してきた。政府の各種の審議会の委員をし、国の政策立案にかかわる。

被災された生徒・先生方へ

東日本大震災で被災された皆さん、今なお本当に苦労されていられることと思います。皆さんは人生において、残酷だけれども他人が経験しないような体験をされたのです。自然の驚異、地域の崩壊、生活の再建、住民に協力など、このような体験をどうか学びの場に生かし、皆さんで様々な問題について語り合ってください。

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