とことん悩んだ!人生とは自分で編む物語

松下 佳代   京都大学 高等教育研究開発推進センター
教育方法学 /研究領域:能力論、学習論、評価論 ]

私の専攻する教育方法学は、様々な学の理論と方法を用いて、教育実践を検討し、創り変えていくことをめざす学問です。大学の教育学部には、教育哲学、教育心理学、教育社会学などの専門分野がありますが、これらの分野が、親学問(哲学、心理学、社会学など)の方法や概念・理論を使って、教育という現象にアプローチしようとするのに対して、教育方法学には、親学問が存在しません(「方法学」という学問はありませんよね)。ですから、教育方法学をやる人間は、どう教育実践を対象化し、どんな理論的枠組みによって研究するのかというところから始めなければならないのです。このことは、教育方法学の危うさ・難しさであり、同時に面白さでもあると思います。

田舎の小・中学校でのんびり過ごした私は、高校で進学校に入って、受験文化にカルチャーショックを受けました。でも、そのうち過剰適応して、「時間どろぼう」に時間を盗まれた人たちのように、勉強以外の時間を削(そ)ぎ落としたような毎日を過ごしました。一方で、自分が何になりたいかわからず、進路には悩み続けました。毎日苦しくてたまりませんでした。教育学部を選んだのは、人を相手にする学問をしたいという漠然(ばくぜん)とした理由からです。

大学に入って間もない頃、同級生の一人に、「仲間を蹴(け)落として京大に入ってきたことに後ろめたさを感じないか」と言われました。自分の思いはどうであれ、事実としてはそうなっているわけですね。小・中と高校とでかなり異質な学校経験をしたこと、そして、この同級生の言葉から学校教育のあり方に問題意識をもつようになったことが、教育方法学を選ぶきっかけになりました。

人生は、自分の編む物語です。苦しい出来事も、その後の自分がどう生き、それをどう意味づけていくかによって、違った物語ができあがっていきます。とことん悩んでください。でも、日々できることをおろそかにせず、悩みを共有できる仲間とともにね。

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まつした・かよ/1960年福岡県生まれ。
人はどう学ぶのか、それをどう援助できるか、人の能力はどう形成され評価されるのかという学習論と能力論が私の主な研究テーマです。小学校と大学をフィールドにして、実践に関わりながら研究するというアクション・リサーチを行っています。学生時代は、熱気球サークルに入って、日本のあちこちの大空を散歩していました。

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