一生やれる好きなことを探そう、それは遊びの中にも?

熊谷 英彦   石川県立大学 生物資源工学研究所
応用微生物学 /研究領域:酵素化学、発酵醸造学 ]

私は、42年間、大学で研究と教育に携(たずさ)わって来ました。若い人たちとともに彼らの成長を見守りながら、自分の好きな研究をすることができ、大変幸せなこれまでの人生でした。学問をやるとは、なにか新しいことを見つけ出して世の中に出すことだと思います。新しいことは、それを明らかにすることによって、遅かれ早かれ人の世の役に立ちます。そして、学問を長くやる上で一番大事なことは、自分の好きなことをやることです。

今、皆さんが一生懸命やっている受験勉強は、そういうことからするとまだ、学問とは言えないと思います。目的が、新しいことを見つけだすことではなく、いい高校、いい大学へ入ることだからです。また、必ずしも自分の好きなことでないことも勉強しなければならないからです。でも、受験勉強にも将来学問をするために重要な事柄がいっぱい詰まっています。一つはいろいろな基礎的な知識を身につけられることです。新しいことを見つけ出すには、これまですでに分かっていることをもとにしなければなりません。また何が新しいかは古いことを知らなければ判断できません。次にものの考え方をいろいろ学べます。3番目に大事なのは、いろいろやってみることで自分が好きなことを見出すことができることです。受験勉強もこういった目的意識を持ってやるべきです。

自分の好きなことを一生やれることは、本人が幸せであり、それが世の中の役に立てば、周りの人たちも幸せにし、さらに本人の満足感を増大させます。好きなことを見つけやりとおし、そのことによって世の役に立つことが大事です。好きなことが見つかれば、学問でなくても、物作りやそのほかのなんでもいいのです。そのためには、勉強だけではなく遊ぶことも大事です。遊びの中から夢中でやれる好きなことが見つかればそれにつながる、それを高める方向での勉強をすればいいのです。それも学問をするということになると思います。

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くまがい・ひでひこ/1940年旧満州国新京市生まれ。
微生物の細胞の仕組みを、酵素を中心に研究し、その結果を役に立てることに努めています。酵素は生物が作る触媒です。生物は酵素によって栄養物を分解し、また自分の細胞を形作ります。また、酵素は、食品、医療、トイレタリー産業、バイオテクノロジーなどいろんな分野で利用されています。京都大学名誉教授。

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今回の震災は、大変つらい悲しい出来事です。自然の力の前に人間がいかに小さな存在であるかを改めて思い知らされました。自然を克服するのではなく、自然と調和して生きていく方向を目指すべきだと教えられました。科学は、本来そういうものだと思います。

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