選択の基準は「好きなこと」。だから納得できる

山田 敬三   神戸大学 名誉教授
中国文学 /研究領域:中国近現代文学、華文文学、日中近代文学の比較研究 ]

大学選択の基準はあくまでも受験者本人の適性です。好きなことを選び、「やりたいことをやる」という一語に尽きます。偏差値は無視できないでしょうから、まずやりたいことを決めた上で、その後それに見合う偏差値の大学や学部を決定するということです。一見、当たり前の話ですが、現実の受験者心理は必ずしもそうなっていません。世間の評価や周辺者からの期待、卒業時の就職率など、もともと適性とは関係のない基準を選択肢にして受験校決定に悩むのは愚(おろ)かなことです。

大学に入ってからも、まともな大学では卒業論文の作成が要求されます(卒論執筆を求めない教師や大学は、まともでないと私は考えています)。私が直接指導を担当していた学生たちからは、よく卒論の題目を決めかねて、相談を受けることがありました。そんな時の私のアドバイスは、やはり書きたいテーマを選ぶという一言しかありませんでした。関連文献が少なくて書きやすいとか、就職に有利だとかいう理由は卒論を書く上でのタブーです。苦しくても好きな対象に取り組むことではじめて達成感が得られ、将来の道も開かれてくるものです。

自分のやりたいことがわからない、好きなことがないという人は大学に進まない方がよいのです。あるいはどこでもいいからとりあえず入れる大学に入り、その後で広く一般課程の授業を受けつつ読みたい本を読み、ゆっくり心を遊ばせながら進路を考えるしかないでしょう。ただし、そんな場合には大学に入ったことを、あるいは後悔することになる人が出てくるかもかも知れません。中学あるいは高校在学中にまず好きなこと、やりたいことを見つけ出し、それに合った進路を決めることこそ、最善の進路選択です。

私自身は高校時代の読書体験から現代中国研究をこころざし、最終的には専攻を近現代中国文学に選びましたが、そのころ(1950年代)、現代中国を勉学対象にすることは、世間一般の常識からは外れた愚かな行為でした。卒業の時にも学部時代の専攻を生かせる職場はほとんどありませんでした。しかし、私はやはりマイペースで好きなことを選んだ自分に納得しています。進学の選択には、必ず好きなコースを唯一の基準にして下さい。

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やまだ・けいぞう/1937年兵庫県生まれ。
魯迅(ろじん)を初めとする中国近現代文学と日本文学の比較文学的研究。研究の内容や主な著書については次のURLを参照して下さい。http://www.soul.zaq.jp/yamada36/index.html またはウェブ上で「魯迅故里(山田敬三)」と入力して下さい。

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16年前、神戸で阪神淡路大震災に遭(あ)い、卒論提出時の長女が重傷を負いました。こうした異変の時には大学内でも連絡が不十分になりさまざまな誤解が発生して人間関係にひびの入るような不幸も発生しました。生き延びることができた人々の間に確執が生じないよう、できだけ関係者間の連絡を密にして下さい。

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