自分・社会を知る学問は、より良い選択への回り道

正村 俊之   東北大学 文学部 人文社会学科
社会学 /研究領域:コミュニケーション論、社会情報学、現代社会論 ]

「自分は何者なんだろう」、こうした疑問を抱いている中学生や高校生は少なくないでしょう。もうだいぶ昔にはなりますが、私にもそのような経験があります。その疑問に対しては、心理学のように自分の心の奥底をのぞいてみるのも一つの方法でしょう。しかし、私がとった方法はそれとは違い、自分が生きている社会を探究することでした。自分を取り巻く社会を知ることがひいては自分を知ることにつながるのではないか、そんな思いのもとに社会学という学問の道に入りました。

それぞれの社会には固有の特徴があり、そうした特徴はさまざまな現象のなかに現れます。今回の地震に対する人々の対応をみても、そこには日本社会の特徴が映し出されているように思います。社会のなかに働いているメカニズムは、ふだんは私たちに意識されることなく作用していますが、日常性を破るような出来事をとおして姿を現すのです。私たちが生きている社会は日本社会であると同時に、近代社会でもありますが、社会学という学問は、近代社会の自己認識の学問であると言われています。

社会学に限らず、学問の営みは、人が食べて生きていくのに直接役立つわけではありません。それどころか、生命の直接的な再生産から最も遠い営みです。しかし、個人にとって、自分自身を認識したり、自分が生きている社会を認識したりすることは、その可能性を広げることにつながります。可能性が広がれば、それだけ自分や社会のより良いあり方を見つけることができるかもしれません。学問というのは、より良い選択をするために回り道をする「迂回(うかい)生産の論理」に従っているのです。

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まさむら・としゆき/1953年東京都生まれ。
社会に関する理論的研究。二十世紀後半以降、情報化とグローバル化が進んでおり、そうしたなかで近代社会の仕組みが大きな変化を見せています。このような社会の変化を解明したいと考えています。

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