震災は「効率」の研究者に「無駄」の定義の再考を迫る

松井 正之   神奈川大学 工学部 情報システム創成学科
経営工学 /研究領域:マネジメント、作業・生産管理、需給システム ]

小学生の頃、よく家業の瓦(かわら)運びの力仕事を手伝わされていた。地方の中小事業家であった父からは、手伝いをするのが嫌(いや)なら勉強をしろと言われていた。この言葉が、その後の私の進む方向を決めたようである。

中学生になってある日、社会科の先生に「日本」名の由来を尋ねた。後で、自分で図書室の本で調べて報告をしたら、その先生が清書して皆に配ってほめていただけた。その頃から、勉強で拘束(こうそく)されるのは嫌いだが、自由に考えてやることの楽しさに気づかされた。

大学進学では、全科目ながら教科書ベースで出題がされる、地元に近い広島大学を選んだ。学科は、将来は長男として会社に役立ち、技術と経営を幅広く学べる経営工学に絞った。これから、学問への模索(もさく)、放浪の旅(道)が始まったように思う。

経営工学の流れは、ムダの排除による仕組み(システム)の効率化、標準化から、出発している。そこには、100年におよぶ先人たちの改善、改革の歴史がある。今になって、自分は小学生時代から、自分なりに何事も無駄を除いていこうと考えていたのではと思う。

最近、無駄学が注目されたが、何がムダで、ムダでないのか、答えは容易ではない。モノづくりや経済社会において、在庫(ストック)は少ない方が良いとされているが、今回の東日本大地震によって、ロジスティクス(物流)の切断が大きな社会的問題となった。

世の中の効率化は、どこまでが良いのであろうか。40数年来の研究生活で、ムダの管理技術、理論にはかなり貢献できたように思っていた。今あらためて自分の前に、この奥深い、永遠のテーマが残されている。

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まつい・まさゆき/1945年広島県生まれ。
3M&I系(多様性)の術(art)に関する研究。3M&I系とは、ヒト、モノ、カネ(資源)と、その情報(組み合わせ/方法)の世界を示す。企業、経済は、その代表的な存在例であり、100年以上の研究の歴史がある。

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