夢や感じたことは、いつも心にとどめ、時々思い出して考えていよう
鈴木 康之 | 岐阜大学 医学部、医学教育開発研究センター |
私は医学部で学生教育にあたっています。私自身は大学を卒業して既に30年以上になりますが、この間、医療のニーズは常に大きく変化してきました。かつては栄養不良や感染症撲滅(ぼくめつ)が大きな課題でしたが、現在は癌(がん)・脳卒中・糖尿病などの生活習慣病の克服(こくふく)が大きな社会問題となり、今後さらに超高齢社会、少子化、メンタルヘルスなどが大きな課題となってゆくと考えられます。
また近年、様々な医療分野の危機が叫ばれてきましたが、今回の大震災では地域医療が危機的状況に陥(おちい)りました。1995年の阪神淡路大震災をきっかけに組織された災害派遣医療チーム(DMAT : Disaster Medical Assistance Team)が大きな貢献をしましたが、地域に密着した継続的・総合的な医療の不足が浮き彫りになりました。医療をとりまく環境、解決すべき課題は、今後も私たちの予想を大きく超えて変化してゆくと考えられますが、いつの時代にも社会のニーズに貢献できる医療人を育てることが、私たちに課せられた責任です。そして、これは医療に限ったことではなく、全ての実践的な学問分野にあてはまることだと思います。
確固とした知識に基づいて判断を下し、協力して問題解決できる社会人としての基礎を育てるところが大学であり、学問だと思います。皆さんには、それぞれ夢があると思います。そして今回の震災で痛感したことが必ず何かあるはずです。それを実現し、解決するために今何をすべきか、じっくり考えてみてください。答えはすぐには見つからないかもしれません。毎日の生活で精一杯のこともあるでしょう。それで良いと思います。いつも心にとどめて、時々思い出してください。“継続は力なり”という言葉があります。これは行動面のことだけではありません。常に心にいだくこと、考えること、念願することが、その人の行動力の源泉となり、夢の実現に結びつくのだと思います。
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