高校で砂丘植物に没頭。人の幸せのための研究へ

高橋 正征   東京大学 名誉教授
生態学 /研究領域:地球環境科学、海洋深層水利用学 ]

私が研究者を選んだきっかけは、小学校3,4年の担任の先生が、母に「息子さんは理科がとても好きなようですよ」といった言葉でした。以来、両親は、私に本や実験機材を買い与え、生物の野外観察会に参加させ、理科への関心が深まるようにしてくれました。私自身も、その気になり中学校では理科部に入り、研究にチャレンジしました。高校では生物部に所属し、当時関心をもっていた砂丘植物の研究を顧問の先生に説明し、夏休みは砂丘植物の調査に没頭(ぼっとう)しました。秋に、調査結果をまとめ、第2回日本学生科学賞に応募したところ、静岡県代表、全国大会で優秀賞に選ばれ、さらに日本代表として第10回国際科学博覧会の日本代表になり、高校2年の5月に米国コネチカット州での大会に派遣され、3位に入賞しました。

当時の日本では、工学部進学が高校生の夢でしたが、国際科学博で入賞した私は、理学部で植物生態学を学ぶ道を選び、植物生態学が学べる大学に進学しました。大学卒業後、大学院へ進学し、修了後はカナダへ研究留学しました。カナダに行って驚いたのは、私が日本の大学・大学院で学んだことが一般的ではなく、欧米では私の学んだ分野が極めて遅れていたことです。そこで、私をカナダに招聘(しょうへい)してくれたカナダの研究者と2人で教科書を執筆し、私は日本で学んだことを紹介したところ、欧米の関連研究者の多くから評価され、“生物海洋学”という新しい研究分野が誕生しました。

20世紀はノーベル賞で明け、科学的発見が高い評価を受けました。しかし、科学的発見は“パンドラの箱を開ける”ことで、人類の幸せと同時に、深刻な不幸をもたらしました。科学的発見追及は人類の根本的な興味の一つで、それをやめることはできません。21世紀は、科学的発見は進め、同時にその発見が人類の不幸につながらないようにすることが肝要です。科学研究を志す皆さんには、そのことを強く心に刻み付けていただきたい。

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たかはし・まさゆき/1942年神奈川県生まれ。
“生態学”、特に、海洋や湖沼のような水域環境での生物と環境とのかかわりを研究してきました。そうした経験を踏まえて、地球全体を視野に入れて人間活動と環境を考える“地球環境科学”と、これからの人間活動を支えるためにエネルギー・水・金属・肥料など豊富な再生資源を含んでいる海洋深層水の本格的な資源利用を進めるために“海洋深層水利用学”を提案しています。高知大学名誉教授、台湾国立台東大学特約教授

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