それでも科学技術が100年後の社会を必ず幸せにするために

沖 大幹   東京大学 生産技術研究所 人間・社会系部門
水文学 /研究領域:グローバルな水循環、世界の水資源、水を軸とした千年持続学 ]

みなさんは、科学技術は人類を幸せにしてきたと思いますか?

生まれたときから地球温暖化が脅威(きょうい)であると教わり、食べ物等に含まれる発がん性物質を気にかけつつ育ち、防災大国のはずが東日本大震災では想定外の津波によって何万人もの命が奪われたり、原子力発電所が制御(せいぎょ)不能に陥(おちい)ったりするのを見たりすると、科学技術は問題を増やしているだけで人類を結局不幸にするのではないか、と思うかもしれません。

しかし、昔の暮らしを想像して比べてみましょう。今を生きる私たちは食べるものを得るために毎日何時間も農作業をしたりせずにすみます。農業技術や人工肥料のおかげです。飲み水を得るために毎日水汲みをせずにすむのも水道技術のおかげです。情報通信技術のおかげで外国にいる人とTV電話をしたり、インターネットを通じて知りたい情報を瞬時に得たりできますし、社会基盤整備と機械技術のおかげで行ってみたい場所にさっさと移動できるのです。私たちは、より多くの自由な時間、より広い活動範囲、より豊かな知的生産活動、つまり、より幅広い人生の可能性を科学技術のおかげで得ているのです。

それでもまだ自然災害や疫病(えきびょう)によって不慮の死をとげる方が日本にもいます。世界では水や食料、電気やガス、交通網や通信網から隔絶されている人々、教育や自己実現の機会に恵まれない人々もまだ少なくありません。科学技術だけではこうした状況を改善できず、国際社会から地域社会まで、いろいろなコミュニティが改善へ向けて知恵を出し合い、社会の仕組みを変えていく必要があるでしょう。でもその際、科学技術の進歩はそうした改善をきっと楽にしてくれるはずです。

今の日本が比較的恵まれているのは、幾多の先人のおかげです。だとすると、今を生きる我々の努力、科学技術を通じた貢献が、100年後、200年後の社会を良くすることにつながるはずです。自分の研究開発が将来の社会に役立つことを夢見てみませんか。

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おき・たいかん/1964年東京都生まれ。
水文学(すいもんがく)は地球上の水の循環をその物理化学的性質、生物との相互作用、さらには人間社会との関係も含めて扱う学問です。特に、地球規模の水循環と世界の水資源、気候変動の影響評価、地球人類の持続可能性とその限界などに関して研究しています。

被災された生徒・先生方へ

水や食料、住むところは足りていますか?電気やガス、交通や通信手段はどうですか?義捐(ぎえん)金や人手、善意や応援だけで十分ですか?故郷の未来への希望、ご自身の将来の夢は壊れていませんか?健康で文化的な生活を再興するために、何が今足りないのか、今後どういう支援が必要となりそうなのか、どうぞ教えてください。

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