新たな「視点」を獲得し、大学でさらに深める

藤原 学   龍谷大学 理工学部 物質化学科
機器分析化学 /研究領域:X線分析、金属錯体、環境試料 ]

大地震などのような大きな災いがわが身に降りかかると、同じ景色がまるで違う世界のように感じられます。いままで確かと思っていたことがいかに不安定で危ういものであるか、いままで大切と思っていたことが生きていくためにそれほどには大切なものでなかったなど。

このように人々のこころに生じたこれまでとは異なる考え方や感じ方は、以前と同じような日常生活が戻ってきたとしても元に戻ることはありません。これは、厳しい経験を通じて別の考え方や新たな視点を獲得したともいえます。このような厳しい経験を通じてではなく、日常的に新たな視点を獲得する場として最適なところが大学です。

一つの現象を異なる視点から捉(とら)える、深く考える、そして他者に伝える、これが大学で学ぶ最も重要なことの一つです。その学ぶ対象、学び方、そして用いる表現方法などは分野によって異なるかもしれません。しかし、それぞれの学びの目的と目標は同じです。

化学は、100個足らずの元素の組合せから成る、無数で多様な物質の全てを対象とし、自ら新しい物質を創り出しています。この数少ない要素から複雑な世界を創り出す化学の魅力にひかれて飛び込みました。ここでも、金属酸化物が今まで考えられなかったような高温で超電導性を示すことなど、これまでの視点が大きく変わることが度々起こっています。現在では、電子の視点からいろいろな現象を詳細に説明できる機器分析化学を専門にしています。

学問の歴史から考えると、自由に学問ができることは非常に恵まれた状況であることを示しています。世の中の人々が学問に取り組んでいる者に対し場所と時間を与えて、経済的にも精神的にも支援してくれているのは、学問の可能性に大いに期待しているからです。どうか喜び勇んで学問の世界に飛び込んできてください。少し時間がかかりますが、学問の世界から新しい日本を築く強い力を採りだすことがきっとできると思います。

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ふじわら・まなぶ/1958年兵庫県生まれ。
いろいろなX線分析装置を用いて、金属材料・金属錯体(さくたい)・環境試料(主に森林土壌)・考古試料(主に大学が所有する大谷コレクション)などの測定を行い、存在する元素の種類・濃度・分布などのデータを得ています。それらのデータから、金属材料・金属錯体の構造や電子状態、環境試料における物質移動の様子、考古試料に使われた材料やその製作地などを明らかにしています。

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