インターネットとの出会いが、デザインの可能性を広げた

若林 尚樹   東京工科大学 デザイン学部
デザイン学 /研究領域:感性科学、情報デザイン、コンテンツデザイン ]

16年前、1995年1月に神戸で震災があった時、その直後のテレビでは、大きな地震で甚大(じんだい)な被害があるらしいということが、黒い煙がいく筋もあがる街並の映像とともに繰り返し放送されていました。しかし、はじめの頃は詳しい情報がなかなか伝えられませんでした。

その時に、まだ日本でも普及しはじめたばかりのインターネットを通して、ボストンに住んでいる友人から地震直後にメールが届きました。そのメールには、地震の発生時刻、地震の大きさ等が詳しく書かれ、そしてその被害についてとても心配しているという内容でした。日本で起こっていることが、現地の混乱の中で国内でもまだ十分に情報として届けられていない段階で、遠く海を越えたアメリカから地震の状況が情報として送られてきたのです。インターネットの技術のすごさをあらためて知ることとなりました。

それとともに、さまざまなデータをもとに、情報を必要としている人たちにわかりやすく、そして迅速(じんそく)に伝えるためにはどのようにしたらいいのか?さまざまな情報を整理して間違いなく届けるにはどのようにしたらいいのか?デザイン分野で培(つちか)われた情報をわかりやすく表現し、間違いなく伝えるための手法が、インターネットというあらたな表現分野にも必要とされていることに気づきました。

その当時はまだ文字が中心だったwebページのデザインは、その後の技術的な発達で、今では信じられないほどの豊かな表現が可能になっています。そして現在のwebサイトの多くは、見る人の操作や動作に応じてさまざまな情報を表現豊かに見せてくれます。その可能性はまだまだ大きな広がりを持っています。それまでデザインの分野ではあまり扱われることのなかったあらたな技術を手にしたデザイナーもぞくぞくと登場しています。このように魅力的な世界がデザインの分野にもあるのです。そして、デザインもこの社会の中で、大きな役割を担(にな)っている学問分野のひとつなのです。

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わかばやし・なおき/1959年石川県生まれ。
伝統工芸に関連する仕事をしていた父の影響で、美術大学に進学。大学でプロダクトデザインを学び、大学院に進学。ある日見たCG(コンピュータグラフィック)の表現のすごさに魅せられ、研究の方向を転換しCGを学ぶ。現在は、水族館が好きだったのがきっかけで、水族館をフィールドにした「学びのためのデザイン」の研究を行う。

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