自分を知るための努力を~デザイナーにもそれが必要

清水 敏成   日本大学 芸術学部 デザイン学科
インダストリアルデザイン /研究領域:人に関わる「もの」や「空間」、創造、生産 ]

「デザイナーって特殊な人? どんな才能や能力が必要なのでしょう?」そう聞かれることも多い。「絵心があり、ものを工夫改良し、つくることが好きであれば…」そう答える…。しかしもちろん、時代はデザインに対する要求を、広く複雑にもしています。私が知る多くのデザイナーをみても、それぞれの個性や資質をいかして、さまざまな分野で活躍しています。発想力や造形力など、習い訓練することで、ある程度の修得はできるからでしょう。「デザイナーになりたい!」という強い思い、「好き」になって「楽しく」学ぶことができれば、それが一番の資質だといえるのかもしれません。

目標があれば、迷いなく取り組むことができるのです。「自分がどう生きたい?」という自分自身への問いかけは、いま、しっかりと自覚しておくことです。早いうちに、自分自身に向かい合うことで、自分が最も望ましい生き方だと納得できるからです。自分の「個性」は何なのか、自分にはどんな「適性」があるのかを考えるとき、自分が考える情報、いままでに興味ひかれ感動したものなどのすべてを書き出して眺め、「夢」を本音で考えてみること。もちろん、その判断力が大切で、「独(ひと)りよがり」で自分に都合のよい考えだけで決めつけないことです。

ときには、信頼できる先生や友人に相談し、忌憚(きたん)のない意見を聞くことも客観的に自分を知る意味では大切でしょう。いまの「能力」を知りのばすのは本人の自覚、やる気 次第なのです。

自分を知るための努力は、自ら望む「目標」に近付く積極的な行為となるものです。デザインが取り組む問題の多くは、人々の日常生活やその周辺にあり、その意識した自分の「生き方」が大切なのです。またその中で気付いたことをメモやスケッチにして記述する習慣、眼と手の動きを身体に記憶する一連の行為は、「デザイン力」の拡充に極めて有効なものになるのです。

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しみず・としなり/1938年熊本県生まれ。
日本大学芸術学部教授・大学院主任教授を経て現職。デザイン201研究室主宰。さまざまな生活用品や製品/防災・災害用機器製品/産官学共同研究などのデザイン開発。阪神淡路島大震災、チリ落盤事故などをテーマにデザインが「出来ること」を考えている。『眼と手で考えるデザイン』2009年 リフレ出版

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