誰よりもはやくウイルスの秘密を発見し、役立てる喜び
福士 秀人 | 岐阜大学 応用生物科学部 獣医学課程 |
毎日のなかで楽しいときはいつでしょう。何かをみつけたとき、気がついたとき、思いついたとき、それを誰かに話すとき、そして、すごいねと言ってもらったときでしょうか。誰も気づいていなかった事に気づくときもあります。密(ひそ)かに喜びます。嬉しい瞬間です。でも、誰かに伝えなければ、誰にも私が見つけた事はわかりません。だから、私は何かをみつけたり、気づいたときは、かならず他の人たちに伝えます。
私の場合は論文です。論文は、そのままでは公(おおや)けにしてもらえません。本当に新しい事なのか、正しい手続きや手順をへてみつけたことなのか、厳しい審査をうけます。審査をとおれば、世界中に知らせる事ができます。私が何をみつけ、何に気がついたかを。それが、研究をする喜びでもあります。
研究は何気ない毎日のなかで行われます。何気ない毎日の、その何気なさにこそ、生きる事のすばらしさがあるのでしょう。そして、自然のなかで生きる事の温かさを感じるのかもしれません。しかし、自然は優しいばかりではないですね。私たちの思いとは無関係に、それこそ無慈悲な仕打ちをすることもあります。その厳しさは優しさの裏返しなのかもしれません。
その自然が何を私たちに語っているのか、私は知りたいと思い、日々、研究をしています。私の相手はウイルスという目に見えない自然の一部です。目に見えないウイルスを見えるように工夫をし、さっと見ただけでは気づかれないようなウイルスの動きがわかるようにします。実際には、数秒から数分ごとに写真をとります。続けて映画のようにすると、ウイルスが細胞の何をしているのかを見ることができます。ウイルスにも遺伝子はあります。その遺伝子の言葉をよみ、ウイルスが語る物語をよもうとしています。 ウイルスが語る言葉がわかれば、ウイルスが引き起こす病気を抑えられるかもしれないからです。
ウイルスを知る事は、誰よりもはやく秘密を知る喜びだけでなく、多くの人々や動物の命を救うためでもあります。ウイルスが語る物語を解き明かす事で、ウイルスが引き起こす様々な問題を解決したいと日々願い、研究を続けています。
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