やるべき時に努力するプロになれ!~学ぶ機会は大学以外でも

深見 希代子   東京薬科大学 生命科学部 分子生命科学科
生命医科学 /研究領域:病態生理学 ]

どうやって進路を決めるのか、迷って当たり前ですよね。だってお手本は身近な両親や接したことのある人々くらいしかいないのですから。「医療分野で社会に貢献したい」そう思い始めたのは、高校2年生くらいだったと思います。医学部か薬学部に、と思いましたが、女性が医学部に行くと結婚できなくなる、といういなかの両親の反対を説得するだけの強い意志もなく、薬学を目指す事にしました。抗生物質や鎮痛薬が魔法のように良く効いて、苦しんでいる患者さんを救えるということも、薬学にひき付けられた要因です。

薬には副作用もあります。上手に薬を使いこなす臨床薬剤師に大学時代はあこがれましたが、時期早尚でした。卒業後はK大学病院の薬剤部の研究室で、抗菌剤の医薬品開発に携(たずさ)わった後、子育てのため退職(寿(ことぶき)退社が一般的だった時代です)。そして30歳を目前に公務員試験を受けて、本格的な生命科学分野の研究が始まりました。その後、東京大学医科学研究所を経て現在の大学に赴任(ふにん)しましたが、研究分野は一貫して細胞の増殖と分化制御(せいぎょ)です。

増殖と分化のバランスの乱れは、がんや組織形成の異常など様々な疾患(しっかん)を誘導します。遺伝子を人工的に操作したマウスなどを用いて、こうした病気の発症の仕組みの解明に取り組んでいます。また病気を知ることを基盤に、病気を治すための医薬品の開発も目指しています。近年、分子標的薬、抗体医薬という新たな概念が創薬分野に浸透してきましたが、製薬業界のグローバル化もあって、日本独自の開発販売が難しい状況です。ぜひ日本発の創薬につなげて、医療分野で社会に貢献するという薬学を選んだ若い頃の想いを実現したいと思います。

大学に入るときだけが学ぶ機会ではありません。これからの長い人生の中で、常にがむしゃらに走っている必要はありませんが、「やるべき時にやるべき努力をする」というプロ意識は重要です。学生の頃からプロ意識はなかなか持てないものですが、ぜひ実行して下さい。

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本人写真

ふかみ・きよこ/1955年千葉県生まれ。
がんや炎症などの病気が引き起こされる仕組みの研究を遺伝子操作したマウスなどを用いて行っています。特に皮膚(ひふ)での病気に着目しています。こうした病気の原因を探り、治療のための創薬創りを目指しています。

被災された生徒・先生方へ

常々科学技術の発展をめざしている我々研究者にとっては、自然災害の前での科学技術の無力さを突きつけられたような大震災でした。大切なものを失った被災された方々の悲しみに心が痛みます。早く心安らぐ日常が戻りますよう、お祈りいたします。

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