ニュートンは間違っている?!~物理0点の高校時代

川上 正博   豊橋技術科学大学 名誉教授
生産システム工学 /研究領域:鉄鋼およびチタン等金属製錬工学、腐食・防食工学、リサイクル工学 ]

高校に入って物理を習った時、最初に出てくるのがニュートンの力学に関する第一法則(慣性の法則)、第二法則(運動の法則)、第三法則(作用反作用の法則)です。しかし、これはおかしい。自転車に乗って一定の速度で走るには、ペダルを踏み続けなければなりません。すなわち、一定の力を加えてこそ等速運動が維持出来る、というのが生活実感ではありませんか。ですから、第一法則、第二法則は間違っています。また、壁を押したら、壁から押し返されて、ひっくりかえりますか。そんなことはありません。ですから第三法則も間違っています。実は、当時は、このようにおかしい理由づけもはっきりせず、漠然(ばくぜん)と「おかしい」と思っていました。ですから、物理はさっぱり理解が進まず、物理の試験は常に0点でした。

しかし、大学受験に失敗して浪人生活に入ると、「これではまずい、とりあえず、ニュートンは正しいということにしておこう」ということで、受験勉強に入りました。後から考えれば、私の疑問の方がおかしかったのですが、皆さんは私の疑問に対する答えがおわかりですか。ただ、疑問を持つことは大切なことで、教科書や昔の偉い人の言うことを鵜呑(うの)みにせず、学問とは自分の頭の中に自分で作り上げるものだと思っています。

ところで、皆さんは物理学をマスターすれば、自然界の現象はすべてわかる、と思っていませんか。自然現象は無限です。現在の物理学で説明できている事柄は、ごく一部と考えた方がいいでしょう。皆さんも新発見に挑戦してみませんか。それにはまず疑問を持つことです。そして、それを自分の頭でとことん考えることです。

ニュートンは、第二法則から質点の位置と時間の関係も計算しましたが、この時、微分・積分という新しい数学も考案しています。ですから、新発見のためには新しい数学の考案も必要かもしれません。皆さんも無限の自然界に乗り出してみませんか。そうすれば、ノーベル賞も夢ではありません。

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かわかみ・まさひろ/1941年東京都生まれ。
中学生の頃、遊び場である東京の西を流れる多摩川には、きめの細かな粘土がありました。これからアルミニウムができないか、と思ったのが金属製錬を目指そうと思ったきっかけです。大学に入って、鉄鋼の生産高はアルミニウムの300倍以上ということがわかりましたので、実際には、産業の米と言われた鉄鋼製錬の研究を主に行いました。

被災された生徒・先生方へ

「艱難(かんなん)汝(なんじ)を珠(たま)にす」ということわざがあります。これは試練を乗り越えれば立派な人間になる、という意味です。元気を出して下さい。私の子供のころは終戦直後で、食べるものや色々なものがなく、ひもじく、つらい思いをしました。しかし、今となっては懐かしい思い出です。

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