夢中になったら結果はついてきた~米のパンも、ベンチャーも

小山 清人   山形大学 工学部 機能高分子工学科
高分子物性工学 /研究領域:レオロジー、高分子、成形加工 ]

私は関西生まれで、中学生や高校生の時には、大人になったら 商売をして金儲(もう)けをするのだと思い込んでいた。それが、大学に入り、卒業研究を始めた時、指導教授から与えられたテーマが「溶融紡出走行糸のX線回折」。研究を進めるにつれて、面白くて夢中になっていった。

卒業研究と修士研究の計3年間を、X線室で過ごした。ポリプロピレン(PP)という高分子を溶融(ようゆう)させ、溶融状態で小さな穴から押し出し、細い糸となって固まる様子をX線で調べた。繊維を作るときの原理についての研究である。液体を流して、 固まる際、長い高分子鎖がどのようにして伸ばされて、固まっていくかを夢中になって実験していた。今の福島原発から20km以内の警戒区域のような放射能レベルの環境下で3年間実験した。いろいろな人から「あなたは放射線を浴びているから子供ができないよ」と言われながら、実験を 続けた。修士修了後、教員として大学に就職し、結婚して、子供が2人できた。今では彼らも大人になり、今も元気である。

その後、繊維産業の衰退とともに、研究内容も繊維からプラスチックへと変化していったが、対象としている材料は高分子で、考え方も「どのようにして液体が流れるか」、「どのようにして固まっていくか」と変わらなかった。研究の途中で、農協から「お米のパンを作ってほしい」との要望がきた。お米も高分子からなっている。PPの研究結果をお米に適用して、お米100%でパンを作ることに成功し、特許をとるとともにベンチャー会社を作った。さらに、「どのように流れるか」を計算機の中で実験していたが、それを商品化しないかとの声を受け、世界トップクラスの製品ができて、もう一つのベンチャー会社を作った。

何事も、きっかけは偶然でも、夢中になることによって、世界で一番になることができる。さらに、役に立ちそうもないことも、つきつめて研究することによって、世の中に役に立つのを実感した。

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こやま・きよひと/1949年和歌山県生まれ。
身の回りに沢山あるプラスチック製品の製造プロセスについて、高分子科学の立場で研究しています。特に、長い分子鎖からなる液体状高分子の流れや流れながら固まる様子に興味を持っています。山形大学副学長

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