中学生のときに、次の式を見たことがあります。
1+2=3
4+5+6=7+8
何でもない計算式ですが、数字が1から8まで順に並んでいて、面白いと感じました。そして、この続きの式はできないかと追究してみると、
9+10+11+12=13+14+15
のように正しい式をつくることができ、とても感動したことを覚えています。
「なぜ数学を学ぶのか」 このように問われたとき、まず考えられる回答は「追究したいから」になるでしょう。ほとんどの数学者にとって、数学を研究する動機は、「追究したいから」の一言に尽きるといっても過言ではありません。例えば、17世紀に活躍したドイツの数学者ルドルフは、生涯をかけて円周率のより正確な値を計算しました。最終的に小数第35桁目まで計算した結果を、自分の墓に刻ませたほどです。しかし、ここまで正確に計算したからと言って、それが生活の何かの役に立ったわけではありません。ひたすら、探究心から研究を続けたといってもよいでしょう。
一方で、数学は我々の生活に全く役に立たないわけではありません。それどころか、多くの技術や手法に、数学が大いに貢献しています。ナビゲータシステム、携帯電話、インターネットの検索、…など挙げればきりがありません。「なぜ数学を学ぶのか」に対する第2の回答は、「生活に役立つから」といえるでしょう。
また、数学を学ぶことを通して、数学的な「思考力・表現力」が身に付きます。これらの能力は、筋道を立てて考える論理的思考力や様々なアイデアを見いだす推論能力、事象を数式やグラフ等を使ってわかりやすく説明する表現力など、生きていく上で大切な能力です。「なぜ数学を学ぶのか」に対する第3の回答は、「思考力・表現力を高めるため」といえるでしょう。
ともすると、数学は「試験のために仕方なく勉強する科目」として敬遠されがちですが、ぜひ積極的な意義を見いだして、「数学」を学んでほしいと願っています。