中学・高校の数学が研究者になっても役立った

山田 実   金沢大学 理工学域 電子情報学類
量子電子工学 /研究領域:半導体レーザ、光ファイバ通信 ]

今は、携帯電話でどこででも家族や友人と話ができ、インターネットで世界中の情報が手に入る。私は、中学時代は電気ラジオクラブ、高校時代は電気物理部に所属し、アマチュア無線をやっていた。45年くらいも昔のことである。当時も、各家庭に電話やテレビはあったが、電話は使用料が安くはなく、急用以外には使わなかった。アマチュア無線は国内での通信が主であったが、知らない土地の人と会話したり、無線仲間で集まったりしていた。仲間といっても大学生や社会人などの年長者がほとんどで、社会勉強にもなった。無線を使って災害用緊急通信の訓練に参加したこともある。

通信技術に興味があったので、大学は電気工学科に入った。中学や高校時代にも、無線機や音響機器を作ったりしていたが、回路は本に書いてあるものをそのまままねしていた。しかし、大学で講義を聴(き)くと、それぞれの回路の特性が原理的に理解できるのである。感動した。大学の頃からは、もっと難しいことを学んでみたくなり、大学院では量子電子工学の分野に入った。

当時は、レーザが発明され、光通信の実現をめざした研究が行われている最中だった。私の研究テーマは半導体レーザの特性改善に関するもので、理論も実験も手がけた。今でも理論的な研究を継続しているが、大学時代の基礎的な勉学が役立っている。特に数学については、中学や高校からの継続的な学習が重要である。中学生や高校生には、数学の勉強が何に役立つのかは想像できないと思うが、研究者になってみると体系付けられた学習が重要な基盤になっていたことをありがたく思う。中学や高校では、自分の興味があることに凝るのと同時に、学校での勉学もかなり重要である。

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本人写真

やまだ・みのる/1949年山梨県生まれ。
光ファイバ通信が実現する以前から、半導体レーザの研究を行っていました。光ファイバ通信の実現は、携帯電話やインターネットの普及と共に、世界中を一つにつなぎました。人類の英知は永遠であると思います。

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