「グローバル化」に向き合うために~他国の歴史・文化を知ろう

廣岡 正久   京都産業大学 名誉教授
政治文化論 /研究領域:ロシア政治論 ]

今日私たちは、おびただしい量の「情報」と「知識」が世界を飛び交い、「ヒト」、「モノ」、「カネ」が国境を越えてめまぐるしく、すばやく移動する、いわゆる「グロ-バル化」の時代を生きています。私たちの生活は、地球規模の影響の下に営まれているといえるでしょう。

他方でこうした流れは、それぞれの地域や国々で大切に守られてきた「ものの見方」や「考え方」を破壊し、世界を一様化し、平準化してしまうのではないかという、懸念(けねん)や批判があることも否定できません。しかし、私たちはまず「グロ-バル化」の現実にしっかりと向き合い、理解する必要があります。それに今回の「東北大震災」に際して世界中の国々から、また世界中の善意の人々から寄せられた温かい支援や励ましのメッセ-ジを思うと、他国の悲劇的な出来事を、同じ世界の同胞として悲しみ、救助や復興のために応援するという「グロ-バル」時代がいよいよ到来したことを改めて実感します。

だが同じ世界で独自の歴史、文化、宗教をもつ200近い独立国家が存在し、地域によっては様々な経済的利害、あるいは宗教をめぐって対立や流血の戦いも起こっています。皮肉なことに、「文明の衝突」が現代世界を引き裂き、人類の未来を不透明なものにしていることも事実です。こういう時代だからこそ、それぞれの地域や国々の歴史や文化を学び、そこに住んでいる人々の「ものの感じ方」や「価値観」を知る、すなわち、異文化を相手の立場に立ち、敬意を払って理解することがよりいっそう大切なのではないでしょうか。

これまで私が取り組んできたのは、とくにロシアを中心とするユ-ラシア地域の歴史、文化、政治の研究でした。世界や社会の表面的な動きをただ追うのではなく、その底流にある歴史や文化にしっかりと目を向け、正しい理解を得ることが、他国との相互信頼を深め、引いては世界の平和と安定に資するものと確信しています。

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ひろおか・まさひさ/1940年大阪府生まれ。
現在、1453年まで続いた東ロ-マ帝国のキリスト教文化が、周辺の東欧スラブ諸国、そしてロシアにどのように伝えられ、これら諸国の文明と国家の形成、発展にどのような影響を及ぼしたかについての書物を執筆しています。

被災された生徒・先生方へ

今回の大震災で被災された生徒の皆さん、そして先生方、皆様の底知れぬ深い悲しみと苦しみを、たとえほんの一部ではあっても共にすることができればと思っています。皆さんと私たちを結び付ける絆(きずな)を忘れないで下さい。

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