読書、旅、友人、1つ1つの出合いを大切に

林 能成   関西大学 社会安全学部
地震学 /研究領域:地震防災、津波防災、リアルタイム地震学 ]

高校は進学校でなく進路は用意されていなかった。北海道一人旅をし、探検ものの読書をする中で、自然を物理で解明する地球物理学を知り受験勉強をはじめた。北大に合格し憧(あこが)れの北海道生活も手に入れて一石二鳥。しかし大学の講義はほどほどであった。地球をひたすら数理的に扱う理学部と私の興味は、必ずしも一致していなかった。

同級生が大学院へ進学するなか、JR東海に就職した。そこで地震防災システムの仕事につき地震学が実社会につながることを体験。新幹線の安全安定輸送は、車両、土木、電気など様々な専門家の連携で実現していることも知った。実社会では深く広い興味と知識が不可欠だと悟る。一方、入社3年目には私の専門は地震になっていたが、あまりに知識がなく、それを補う人的ネットワークも希薄なことを痛感し、JRを辞(や)めて大学院に入り、地震学研究の訓練を積むことにした。

大学院生活は東大地震研究所でおくった。優秀な大学院生や教員らの中で議論・研究をするのは貴重な経験だった。とはいえ理学の研究者世界になじめていたわけではない。地震や地球のメカニズムだけでなく、社会への影響や災害軽減までを扱うような仕事を将来はしたいと思っていた。しかし理学の世界はあくまでメカニズム研究第一。博士論文に向けて折り合いをつけて、低空飛行で大学院生活を終えた。

卒業後、文理融合ブームが起き防災にもその風が吹く。名大の助手に採用されて、木村玲欧さん(現在、兵庫県立大学准教授)という社会心理学者といっしょに研究をする機会を得た。文系の防災研究者の考えや技術を学ぶことができ、求めていた方向に近づいてきた。
最初から目標をもって勉強したことはない。私の場合は仕事をする中で興味がわいて研究をしたくなってくる。そのきっかけに気づくのに大学で出会った先生・友人、研究してきたこと、旅先での出来事の蓄積などが役立っている。人と違う一歩を踏み出すことが重要だと思う。

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本人写真

はやし・よしなり/1968年東京都生まれ。
学生の頃は地震のメカニズムを研究する理学部所属でしたが、メカニズム解明だけでは災害は減らないし何かと息苦しい。そこで地震学の知識を応用しつつ、災害を実際に減らすことをめざして様々な研究をしています。

被災された生徒・先生方へ

今回の地震を「想定外」というように地震学は未熟な学問でした。地震国・日本の地震学をもっと頼りになるものにしなければなりません。被災体験を乗り越えて、地震学に革新を起こすような中高生が被災地から出てくることを期待しています。

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