自然と融合する暮らしを支え、人を喜ばす仕事をしたかった

宮里 心一   金沢工業大学 環境・建築学部 環境土木工学科
コンクリート工学 /研究領域:メンテナンス、長寿命化、リサイクル材料 ]

毎年、春になると桜が咲き、秋になると紅葉する。この美しい自然環境の中で、日本人は文化を育(はぐく)み、経済を成長させてきた。一方で、自然は厳しい一面を有する。したがって、高度な文明社会が築かれたとしても、人間の力が自然の力に勝ることはできない。人間は、自然と融合しながら、暮らさなければならないのである。

高校2年生の夏に、沖縄本島北部のヤンバル(山原)と呼ばれる豊かな自然の残る地で暮らしていた祖父が、亡くなった。葬式に参列した私は、地元の人達から話を聞いた。「あなたの祖父は、この村に○○を作ってくれた。そのおかげで、村民の生活が便利になった」この言葉を聞いて、自身が亡くなった後でも、市民に喜ばれる土木の仕事に就くことを決意した。

『すべての道はローマに続く』この諺(ことわざ)は、繁栄を極めたローマ帝国において、優れた道路ネットワークが整備されていたことを物語る。すなわち、豊かな市民生活を築くためには土木工学が欠かせない。20世紀の日本では、数多くの鉄道・道路などが建設され、先進国の仲間入りを果たした。ただし、高度経済成長期から50年間が過ぎ、構造物の老朽化が進んできている。すなわち、コンクリートの劣化は、身の回りの構造物でも多く生じている。この理由は、冒頭にも述べたように、日本の自然環境が厳しいからである。そこで、子の代・孫の代まで安心で快適な市民生活を続けるためには、構造物の安全を維持する必要がある。

コンクリート構造物に対するメンテナンスに関しては、世界の中でも日本が優れた技術を有する。私は、コンクリートの腐食を研究し、寿命を延ばす方策を開発している。最近では、欧米の国際会議で講演し、また東南アジアの開発途上国を訪ねて技術支援を進めている。人間の生活に欠かすことのできないコンクリート構造物を長持ちさせることで、安全な社会を次世代まで世界中で存続させたいと願っている。

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本人写真

みやざと・しんいち/1971年東京都生まれ。
高校時代に祖父の魂(たましい)を知り、大学時代に恩師に憧(あこが)れ、市民生活に役立つ土木工学に興味を持ちました。現在は、コンクリートの劣化を防ぐ技術や、環境に優しいコンクリートを造る技術を、学生達と一緒に開発しています。日本全国を旅しながら、各地のランドマークである橋やダムを見学し、また文化や郷土料理を楽しんでます。

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