本当の学びは、未知の解を見つけるために「問い」続けること
鈴木 直義 | 静岡県立大学 経営情報学部 経営情報学科 |
「想定外」、「前代未聞」、「未曾有(みぞう)」-これらの言葉がこれほどメディアにあふれたのは、まさに前代未聞のことでは無いでしょうか? 裏を返せば、私たちは「想定内の、いつかどこかであったことや聞いたことに対処すれば済む」と信じてきたということになりますね。つまり、試験は必ず決まった範囲から出題されるべきであり、問題は答えが一意的に存在するはずだと。
さて、時間が一方向にだけ流れているとしたら、「現実の世の中で起きていることは常に新しいことであり、まったく同じ事が起きることはない」、と考えるべきですね。そこで改めて問い直してみましょう-私たちが直面する現実社会の問題は、正解が確定した問題だけを組み合わせてでてきたものなのでしょうか?
正解が確定した問題に答える訓練をひたすら繰り返す高校までの「学び」とは、「まねと記憶」であり、その様な試験を見事にクリアして入学した大学でも同じことをして卒業した人たちに、今回の「想定外の」大災害と、それにつづく大事故に対処することが出来るのでしょうか?つまり、現実の課題に立ち向かう能力を育成する大学でするべき事が、高校よりは一段と難しい、しかし解が確定している問題の答えを覚えることであってよいはずはないのです。
もちろん高校までの「学び」が無駄だと言っているのではないのです。解があるかどうかさえ定かでなく、100点満点の解など望むべくもない課題にとりくむことが現実社会では求められているのです。「学び」が求められるのは、その近似解を探る為に有効だろうと思えるからなのです。
現実の課題に立ち向かい、未知の解を見つけるために「問い」続ける苦しさに耐え抜く能力を育てる場が、大学なのです。「自分は文系(理系)だから、高校でやってこなかったから・・・」、こんな言い訳をして高校で学んだことの延長線から外れることを恐れて、新たな経験に挑まない大学生活とは一体何なのでしょう。
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