材料研究の進展こそ、新しいエネルギーの時代をひらく

山口 勉功   岩手大学 工学部 マテリアル工学科
材料工学(製錬工学) /研究領域:金属製錬、貴金属とレアアースのリサイクル ]

今回の震災では残念ながら多くの方々が犠牲になり、大変心が痛みます。被災地のみならず全国には、将来への大きな不安を持つ中学・高校生が多数いることでしょう。この不安を取り除いてくれる一つが学問だと考えます。学問とは、先人達の知見を体系的に発展させて形成されたものです。学問は現象を解明するとともに、事象を予測し、今後への提言を与えてくれます。「歴史に学ばないものは、未来に暗い(司馬遼太郎)」、この言葉は、学問を理解することは未来を保証する、と言っているとも思います。学問は、心のゆとりと安心を授けてくれます。

私は材料工学の金属製錬・リサイクルを専門としています。「鉄は産業の米」や「シリコンは産業の米」という言葉に代表されるように、材料はいつでも産業の基盤です。身の回りにある建造物、道具、機械、装置、システムなど、技術の実態化は、自然素材→工具材→人工素材→機能材料に発展してきた材料の歴史そのものです。

ガソリン自動車のエネルギー変換効率は25%程度、化石燃料を利用する火力発電所は50~60%の変換効率であり、決して高い効率とは言えません。エネルギーの変換効率をさらに上げていくためには、1000℃以上の高温で耐久性を持つ材料の開発が不可欠です。また、シリコン結晶の太陽電池の変換効率は20%以下で、現在、40%を目指した超高効率太陽電池の開発が試みられています。材料の生産には、原料である素材を安定して供給することも重要です。日本は、世界でも有数の金属消費国ですが、原料をほとんど輸入に頼る資源小国です。使い終わったものを再びよみがえらせる、「ア-バンマイン(都市鉱山)」からの金属リサイクルも必要です。

材料は社会の基盤であり、持続可能な社会の形成の具現化には材料の開発が欠かせません。材料工学という学問で社会が抱えている課題を解決し、未来への約束を確かなものにしましょう。

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本人写真

やまぐち・かつのり/1964年栃木県生まれ。
「100万人の金属学」を読んで金属に興味を持ち、材料系に進学しました。現在は、状態図と熱力学の考え方を応用して、金属製錬と新素材プロセスの研究を行っています。状態図と熱力学は大変魅力的で、応用が効く材料工学の基礎学問です。学生時代はロシア文学とワーグナーの楽劇に傾倒し、現在は古典落語を楽しんでいます。

被災された生徒・先生方へ

材料は原子の集まりです。一つの原子では為し得なくとも、原子同士が手を取り合うことで新しい材料が生まれます。私たちには無限の可能性があります。希望を持って、可能性を信じ、理想に向けて、共に手を取り合い歩んで行きたいと考えています。

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