まさかの時の損失を少なくするために~経済学は「良い社会」を目指す

田中 悟   神戸市外国語大学
経済政策 /研究領域:産業組織論・公共調達論、イノベーション、入札制度 ]

今回の大震災や原発事故が社会に与えた影響はきわめて大きなものでした。私たちは巨大津波によって生産基盤が破壊されたために、被災地域の経済活動が停滞し、多くの人々が職を失い苦しんでいる姿を目の当たりにしています。加えて、原発事故は原発周辺地域の経済活動そのものを喪失させ、また電力問題や風評被害といった様々な問題を生み、人々の生活に大きな影響を与えています。

経済学は、人々が安心して生活を営んでいくことができるような「良い社会」をどのようにつくっていけばよいかを考えていく研究領域です。今回の大震災は、私たちの社会にとって非常に不幸な出来事でしたが、「良い社会」とはどのようなものなのかを真剣に考える機会を提供しています。このような不幸な出来事にどのように対処していけばよいか、不幸な出来事に対して経済的な損失をできるだけ少なくするためにはどのような社会制度を作り上げていけばよいか、こうした問いに対する答えを探すために経済学を学ぶ意味があります。

私自身も阪神大震災の際に被災し、このような問いに対する答えを自分なりに探してみましたが、まだ確固とした答えを探せずにいます。今回の大震災は日本だけでなく海外の研究者の関心も非常に高いので、これから経験するであろう日本の復旧・復興の姿を海外に発信することも重要だろうと考えています。自らの研究を通じて、こうした情報発信にも取り組んでいきたいと心を新たにしています。

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たなか・さとる/1961年兵庫県生まれ。
経済政策の問題を、経済社会に大きな影響を与える技術革新と政府の調達活動という2つの研究課題をたてて研究しています。今回の大震災からの復旧・復興に当たっては、政府の調達活動の重要性が増加すると考えられますので、こうした観点からの研究を一層進めたいと考えています。

被災された生徒・先生方へ

今回の大震災や原発事故で被災された皆さんには、現在も大変困難で苦しい日々が続いていることかと思います。まだそのような心境にはなれないかもしれませんが、今回の不幸な出来事を天から与えられた「挑戦・試練」と前向きに受け取って精進(しょうじん)されるようお祈りしています。前向きに精進すれば、今回の不幸な出来事はきっと皆さんの一生の財産になると思います。

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