物理学で「違ったものの見方の驚き」を味わおう!
金子 敏明 | 岡山理科大学 理学部 応用物理学科 物理科学専攻 |
私たちの日常生活は、台風や地震など気候や環境に大きく影響されます。私は、小学生のときに新潟地震を体験しました。さいわい、家は壊れなかったのですが、いままで体験したことがない大きな揺れでした。この頃から、「どうしてこんなことが起こるのだろうか」という素朴な疑問を抱いていました。
それ以降、光、水、空気など、自然界に存在する物質やそれらが織りなす現象に興味を持ち、人工衛星の話や原子や分子があらゆる物質を構成しているという話を聞いたりして、「自然界の仕組み」に対する興味はますます強くなりました。高校生の時、自分が抱く様々な疑問に答えてくれる学問は「物理学」である、と確信しました。物理学は、物質を作っている原子や素粒子のミクロの世界から、太陽系や銀河系などマクロの世界での現象を扱うことができる学問です。しかも、それらの現象をいくつかの法則だけで理解できるなんて実に魅力的です。
物理学では、‘もの’を、大きさや形、色などを無視した点すなわち粒子と考えます。その一方で、音波や光などの‘もの’は波動です。つまり、‘もの’は、粒子性と波動性を備えた「二重性」を持っていて、あるときは粒子、あるときは波動、という変身をする。その1例が、粒子である電子が波の性質をもって壁をすり抜ける「トンネル効果」です。この現象は、肉眼では無理ですが機器で測定できるのです。このように、自然界の仕組みや法則を知ってくると、ものの見方が変わります。
原子の構造が天体の構造と類似したものと考えられるように、スケールが異なる世界の現象も日常の現象と類似していることが多いのです。光波は、ばねに結ばれた物体の振動と同じ「模型(モデル)」で理解できるなんて驚きですね。自然現象をよく観察していると、ミクロやマクロの世界の仕組みも理解できるようになります。
CGやゲームに見られる仮想現実に惑わされずに、自然を謙虚に見る目を育(はぐ)くんでください。
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