最先端の通信技術研究者が若い人に期待すること

笹瀬 巌   慶應義塾大学 理工学部 情報工学科
デジタル通信方式 /研究領域:無線ネットワーク ]

東北地方太平洋沖地震で犠牲になられた方々には深い哀悼(あいとう)の意を表し、厳しい状態の中におられる被災者の方々には心からお見舞い申し上げます。

私は、このように大変なときこそ、若い皆さんの勉学がなによりも重要であると思います。戦後目覚ましい経済発展を遂げた日本ですが、GDP世界第2位の座は昨年中国に奪われ、また今回の大災害の影響は計り知れず、復興に多くに時間がかかります。しかし、この大災害は、停滞し元気がなくなりつつある日本を蘇(よみがえ)らせるきっかけになるかもしれません。

新生日本を実現するのは若い皆さんの知恵と行動力です。大きな変化に直面した状況では、過去の延長線上で物事を考えることは難しくなります。状況を的確に理解し問題を解決する能力を生み出す源泉は、自分の頭で考えて得た知識です。大きな変化のあった明治維新前後を生きた福澤諭吉が、『学問のすすめ』などで学問の大切さを力説したのもこのためです。

私は、デジタル通信方式に関する研究を行っています。大規模災害で既存の通信網が不通となり、安否確認や被災状況の把握などの情報交換ができなくなった場合、小型・軽量化・簡易組立てなどの特徴をもつ無線アドホックネットワークの適用が期待されます。アドホック(ad hoc)とは、「特定の目的のための」という意味のラテン語ですが、各端末自身がお互いにつながり、複数端末を介した経路選択を自動的に構築することができます。よって、端末が寄り集まるだけで、無線ネットワークを即席的に構築可能になります。現在は、通信品質や接続台数などに課題がありますが、今後の技術開発により、多数のセンサーを利用して情報を収集するようなアプリケーションに適用すると、現場の状況を広範囲にわたって正確かつタイムリーに把握することができます。

未来は皆さんの現在の行動によって決まります。勉学に励み、幅広い知識を身につけ、知恵と行動力を発揮されることを期待しています。

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ささせ・いわお/1956年大阪府生まれ。
いつでも、どこでも、誰とでも、あらゆる情報を瞬時にやりとりできる、豊かな情報社会を実現するために、高度情報通信技術研究に関する研究に励んでいます。豊かな人生とは、才能や実力が十分に発揮できる環境で、ゆとりを持って、心身共に充実した毎日をすごすことだと思います。

被災された生徒・先生方へ

被災者の方々には心からお見舞い申し上げます。ご苦労が多いこととは思いますが、苦難に打ち勝つ強い精神力と希望を持って努力する継続力が、皆さんの未来への大きな宝物になることを信じています。

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