デザインとは問題を美しく解決する知恵~産業や地域活動も

黒田 宏治   静岡文化芸術大学 デザイン学部 生産造形学科
社会・地域デザイン /研究領域:現代社会とデザイン、地域産業、戦略デザイン ]

いま大災害からの復興に向けて、どんな絵が描けるのかは、たいへん重要な課題です。ここで絵を描くとは、決して絵画を意味するのではなく、全体像を明らかにすることです。しかもビジュアルに、アイデアも盛り込んで。その営みはデザインの核心と言ってよいでしょう。デザインというと、すぐに色や形のこと、造形の営(いとな)みを思い浮かべる方もあるかもしれません。私も、中学・高校時代には、そのように考えておりました。美術教育の中で一部が扱われている状況ではやむをえないところです。

美しいこと、確かに魅力的ではあります。でも、それはデザインの目に見える一面に過ぎず、決して本質をとらえているとは言えません。それではデザインとは何でしょうか?私は、デザインとは問題解決の知恵であると考えています。問題を発見して、解決への手だてを講じていくプロセス。解決への方向性、すなわち全体像を提示して、新たな価値の導入を図り(構想力)、そこに様々な技術や経済等のリソースを集約・仲介し(調整力)、姿形ある実体へと着地させていく(造形力)、そのような一連のプロセスがデザインなのです。

実体化といっても、なにも製品や空間だけでなく、目に見えない社会や地域の仕組みやシステムも対象であることは、付け加えておきましょう。新たな価値の実体化を進めていく、造形力だけでなく、構想力と調整力を併せ持った実践の営みです。調整力とはコーディネーションやプロデュースと言い換えてもよいでしょう。

デザインは社会の様々な専門性や担(にな)い手をつなぐパートナーシップの要(かなめ)になるものとして、新たな産業展開や地域活性化のカタリスト(触媒:しょくばい)となる潜在力を秘めています。創造性に拠(よ)って立つ、これからの日本の産業の一つの核となる営為と言えるでしょう。デザインを学ぶこと、それは社会の問題解決力の裾野(すその)を広げることにつながります。デザインとの出会いは、よりよき産業や文化などを生み出す契機となるはずです。

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くろだ・こうじ/1957年東京都生まれ。
デザインの活動を活用した創造性豊かな産業システムや、活力ある暮らしやすい地域社会のあり方について研究をしています。今回の震災等を契機にして、あらためて地域連携のデザインの重要性を痛感しています。

被災された生徒・先生方へ

たぶん語りえないご苦労も少なくないと推察いたします。軽々は申せませんが、今回の実体験を踏まえた学びの新たな融合化、学問と実践の生きた多様な連携に、踏み出されんことを期待したいと思います。

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