2011年3月11日に、私は茨城県のつくば市にいました。宿泊先にチェックインしてすぐに、地震に襲われました。結局2日間身動きが取れず、2泊した後で電車が動いたので、神戸の自宅に戻ることができました。閉じ込められている間、テレビなどで流れる情報は、必ずしも我々が欲しているものを十分に与えてはくれず、むしろインターネットから有用な情報を得ました。ネットを通じて入る海外の報道からも状況を把握する上で有用な情報を得ることができました。
震災以前からも日本における経済状況は芳(かんば)しいものではありませんでしたが、震災とそれに伴(ともな)う原発の被害は、その状況にさらに追いうちをかけている感があります。学生たちの就職にも影響が出ているようです。日本の経済力そのものが小さくなっていくことを見すえて、若い皆さんは自らを鍛(きた)えていく必要に迫られています。
私が学んでいる政治学は、法学、経済学、社会学などとともに、社会科学の一分野を構成しています。社会科学は何のための学問かといえば、それは社会がどのようにして作られ、機能しているのかを解き明かすための学問ということができます。社会科学において、グローバリゼーションの問題は30年以上前から重視されてきました。現在では、一人の人間の人生が必ずしも一国の中で完結しません。皆さんはまだ海外に行ったことはないかもしれませんが、海外に生涯行かない人であっても、使うものや食べるものなどの多くは海外から入ってきます。
単純に言えば、これから日本人だけを相手にする仕事はどんどん苦しくなっていきます。日本人以外とのビジネスチャンスを積極的につかめる人材が有利なのは当然です。そのような社会の作動原理を理解するうえで、社会科学の知識は極めて有用です。