一歩一歩、それでも夢は実現する~地球外生命探査の挑戦

山岸 明彦   東京薬科大学 生命科学部
生物学 /研究領域:進化学、極限環境微生物 ]

地球以外に生命はいるだろうか。誰もが抱く疑問です。私も、ずっと疑問を抱いていました。ただし、はっきりとそれを研究しようと思っていたわけではありませんでした。

大学を卒業して、私は大学院に進学しました。研究を初めて10年ほどは、こうした研究とは関係の無い研究をしていました。大学助手の職を得て、比較的自由に研究内容を決めて良くなった時、生命の進化の研究を始めました。それなりの結果は出たと思っていますが、なかなか思うようには進みませんでした。今から10数年前、宇宙には生命がいるだろうかという疑問を持ちましたが、具体的にどのように調べたら良いかは検討もつきませんでした。「ロケットで火星にでも行って調べるのかな」、と漠然(ばくぜん)と思った程度です。

しかし、ひょっとして空(空中)に微生物がいるかどうかは調べられるのではないかと思いつきました。飛行機を使って、微生物を採集する実験を計画しました。その結果、12km上空まで微生物がいることがわかりました。そこで、もう少し上はどうだろうと、大気球をつかった実験を計画して、20~35kmの上空で微生物を採集する事ができました。

今、さらに上空400kmで地球を回っている国際宇宙ステーションの外側(宇宙空間)で微生物がいるかどうかを調べる実験を計画しています。さらに、火星にロケット(探査機)を送って、微生物がいるかどうかを調べる実験計画を準備しています。夢に向かってまっしぐらということはあり得ません。しかし、なんとなくその時その時、できる限りのことをやっていると、やがて夢は実現してくると感じています。

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やまぎし・あきひこ/1953年生まれ。
宇宙における生命の起原や進化を研究しています。温泉や海底熱水噴出孔に棲(す)む好熱菌が、地球初期生命の名残を残していることに気がつきました。いま、さらに地球以外での生命の可能性を研究し始めています。

被災された生徒・先生方へ

「夢に向かってまっしぐら、計画的に、なににも負けず」。そうありたい理想ではありますが、私にはとてもできそうにありません。「できることを一つずつ」というのが、結局一番良い方法なのではないかと思っています。

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