英作文を学ぶのは、相手を説得するための技術をみがくこと

熊本 たま   名古屋外国語大学 外国語学部 英米語学科
英語教育、応用言語学 /研究領域:ライティング教育、言語と文化 ]

私の分野は英語教育・応用言語学です。特に英語のライティング教育の研究をしています。「使える英語」「役立つ英語」と聞くと皆さんはすぐ会話がペラペラになること、と思われるかもしれません。それももちろん大切なのですが、本当に仕事で使える英語にするためには、読めて書けなければ話になりません。読むことと書くことは二輪の車のように互いに関連していますが、特に書くことはすべての技術(読み、聞き、話すこと)の基礎になります。

「作文」と聞くと皆さんはすぐ和文英訳のことかと思われるかも知れません。もちろん一文ずつ正確に訳せる技術は非常に大切です。しかし、本当に「使える英語」にするためには、どのように文をつなげていくか(ディスコースといいます)、がもっと大切になります。そして、ここで問題になるのが、日本語と英語をはじめとする欧米の言語の文化的な距離です。日本語は俳句に代表されるように、イメージを自由につなげていける言語です。しかし、欧米の言語は、その基礎のところにギリシャ・ローマの弁論術の伝統が息づいていて、現代の言語にも大きな影響を及ぼしています。すなわち、ことばは相手を説得するための武器、ととらえるのです。これを理解しないで本当に文化の異なる相手と交流することはできません。英語の作文を学ぶことは、相手を説得するための技術をじっくり学ぶことでもあります。そして書くことができれば、それを話し言葉にも応用できるということです。

東日本大震災の後、日本はますます世界と密接なつながりを必要としています。どんなところに住んでいても、異なる文化背景の人たちと英語でコミュニケートしていかなくてはならない場面が増えていくことでしょう。こちらの意図していることをわかってもらい、相手を説得するのは議論の力です。それはライティングの力をつけることで強力にしていくことができます。

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くまもと・たま/1948年岩手県生まれ。
著書:高校生用ライティング教科書『World Trek』桐原書店

被災された生徒・先生方へ

小学校6年生まで、岩手県陸前高田市に住んでいました。引っ越して以来、一度も訪問する機会がありませんでした。今回の津波で、町や、あの美しかった高田松原も流されてしまったそうです。死ぬまでに一度帰りたい、と思っていたのに、もう昔の街並みは無く、私の心に残る思い出だけになってしまいました。同郷の友人からまだ行方不明の方が大勢いらっしゃるとうかがっております。被災された方々には心からお見舞い申し上げます。これからの長い復興に私はどのような形で貢献できるのか、考え努力していきたいと思っています。

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