大事なのは「何をやりたいか」よりも「何をやれるのか」。“プロフェッショナル”になれ!

本田 由紀   東京大学 教育学部 総合教育科学専攻 比較教育社会学コース
教育社会学 /研究領域:教育社会学、若年労働市場、家庭教育 ]

東日本大震災の様々な報道を目にして、「被災された方たちに対して自分も何らかの役に立ちたい」と思ってくれた人は多いでしょう。多くの募金や物資が寄せられたことからも、そのような感情が人々の中に広くわきあがっていたことがわかります。でも同時に、「役に立ちたいけど、どうすればいいんだろう」「ボランティアに行きたいけどかえって迷惑になるのでは」と困惑した人もまた多いのではないでしょうか。

他方で、災害の直後から現地では、これまで海外の災害で支援の経験を積んできたプロフェッショナルなNGOなどが重要な役割を果たしたと言われています。「誰かの役に立つ」ためには、そのような熱い思いだけでなく、実質的な有効性を持つ冷静な知識やスキルが求められるのです。

大震災に限らず、今の日本社会は様々な課題を抱えています。経済はかつての活気が嘘(うそ)のように冷え込み、貧困や孤独にさらされる人も増えています。課題が多いということは、それだけ、その課題に対処するために「役に立ってくれる」人々の必要性が高まっていることを意味しています。

ですからみなさんに考えてほしいのは、自分が何をやりたいかだけでなく、何をやるべきか、やれるのか、ということです。そして、それを実現するために有効な知識やスキルを蓄(たくわ)えてほしいのです。言い換えれば、何かの分野のプロフェッショナルになってほしいのです。

でも、「何の分野を選べばいいかわからないし、選んだらその分野のことしかできなくなってしまうんじゃないかな」と思う人もいるかもしれません。でも、ある分野で深い知識やスキルを身につけるということは、必ず他の分野への広がりを伴(ともな)っています。世の中はすべてがつながっていますから、ある分野だけで完結して閉じていることは不可能です。ある分野を最初の手がかりにして、そこから次々に伸び広がってゆくプロフェッショナルに、みなさんのそれぞれがなってくれること。そうして手を携(たずさ)えて課題を解決してくれること。私はそれを強く願います。

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ほんだ・ゆき
/1964年徳島生まれ香川育ち。
東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。日本労働研究機構研究員、東京大学社会科学研究所助教授等を経て、2008年より東京大学大学院教育学研究科教授。専門は教育社会学。教育・仕事・家族という3つの社会領域間の関係に関する実証研究を主として行う。

被災された生徒・先生方へ

これまでの生活や教育・学習を支えてきた様々なものや人々を失われて、どんなにかご苦労されているだろうと思います。みなさんは、歴史的な大きな出来事にまさに今立ち向かわれています。そのご努力を世界が注視し応援しています。学んだことを地域の復興に活かすという価値ある実践を、どうか進めていただきたいと願います。

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