震災後再確認した「スポーツ科学を学ぶ」ということ

木村 和彦   早稲田大学 スポーツ科学部
スポーツ経営学 /研究領域:スポーツツーリズム、スポーツクラブ経営 ]

大きな揺れを感じなかった地域の人でも、家や車や船、津波によってあらゆるものが流される映像を見て、言葉を失った人は多かったのではないかと思います。私も津波の後の瓦礫(がれき)と避難所の様子を知るにつけ、何もできず呆然(ぼうぜん)とするだけの自分に無力感を感じ、スポーツなんて何の役にも立たないのではないかと思いました。

スポーツ科学は、運動やスポーツの科学的な研究を通じて、スポーツそのものの高度化を図るだけでなく、人びとの健康への貢献、教育(体育)や文化としての役割、経済や産業としての働きなどを究明する学問です。スポーツはもともと遊びですから、被災直後の“いのち”を守るという段階ではほとんど役に立ちませんでした(本学のスポーツ医学担当の医師たちは、被災地で医療活動に従事しましたが、スポーツ科学というより医学の貢献でした)。

しかし、生物として命が確保された後、人びとは必ず、より“人間らしく”生きたいという欲求を持つようになります。人間らしい生活は、まさにスポーツを含めたいろいろな文化と、それを支える仲間を必要とします。スポーツをすることによって、身体的な体力や運動技能が向上するだけでなく、仲間との活動を通じて楽しむことによって、社会的な欲求を満たすことができます。自分の限界への挑戦は、自己実現には欠かすことができません。

スポーツを行うことはもちろん、スポーツを見ることによっても、人びとは共感や感動を得ることができますし、明日への希望さえ見出すことがあります。被災地をホームとするベガルタ仙台の被災後の活動や試合に力づけられたのは、一部のサポーターだけではなかったと思います。一方で、スポーツはただがむしゃらにやればよいというものでもありません。やり過ぎや間違ったやり方は、時には命を落とし、大きなケガや障害につながることがあるのも事実です。ですからスポーツ科学は、正しいスポーツの実施方法や指導方法についても探求するのです。

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きむら・かずひこ/1957年山形県生まれ。
スポーツは、学校、地域やプロスポーツなどいろいろな場面で展開されていますが、共通していることは、ある種のサービスとして提供され、事業として営まれているということです。事業を効率よく、効果的に展開する方法を調査・研究しています。スポーツ科学を勉強する人、進学を考えている人に参考になる本。早稲田大学スポーツ科学学術院偏「教養としてのスポーツ科学」大修館書店

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