食感って物理!食べ物の「おいしい」を追求する食品物理学

上野 聡   広島大学 生物生産学部 生物生産学科
食品物理学 /研究領域:食品油脂の物性・状態変化の観察 ]

私は食品物理学という分野で、食品、特に油脂の固形物、たとえばチョコレートやマーガリン、さらにはクリームなどの微細構造について調べています。微細構造を調べることは、食品の物理的性質(物性)、たとえば硬さや粘り気(粘性)などのもとを調べることです。食品の硬さ・粘性などは、パサパサ・ネバネバ・ツルツル・コリコリ・モチモチ・ヒンヤリなどの食感(正確にはテクスチャー)と関わりがあり、食品のおいしさと密接に結びついています。

おいしさというと、皆さんは味や匂いを連想すると思いますが、味や匂いだけでなく、テクスチャーも食品のおいしさにとって重要な要素です。テクスチャーを楽しむ食品の例として、綿アメや冬季限定チョコなど口中で速(すみ)やかに溶けるのを楽しむ、泡(エアー)入りチョコでは口中でチョコが溶ける際のシュワシュワ感を楽しむ、などが挙げられます。アイスクリームは、単に冷たさや甘さだけでなく、口中のとろける感触やソフトな感触を楽しむ食品です。以上のように、私の研究活動は、食品のおいしさとは何かを考えること、よりおいしい食品の開発につながると考えています。おいしい食品を食べることは、楽しい食事へとつながり、心を豊かにし、自然と笑顔が多くなります。大震災などでショックが多いときにこそ、おいしい食品を食べること・おいしい食事を摂(と)ることにより、心が癒(い)やされ、笑顔が増えて被災者の方々の助けになると思います。

ところで、噛(か)む・飲み込むは「食べる」うえで重要なプロセスですが、たとえばお年寄りにとって硬い煎餅(せんべい)やチョコなどは、「歯が悪いから」との理由で食べたくても敬遠されたり、うまく飲み込めずにのどに詰まったり、食道ではなく気道に噛み砕いた食品が入りむせる、などでうまく食事ができないなどの問題が発生します。これらの問題の解決のために、硬さ・流動性・粘性などの調節が必要で、そのためにも食品の物性を探ることが重要です。

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うえの・さとる/1961年神奈川県生まれ。
食品油脂、たとえばチョコレートやマーガリンなどに含まれる油脂の物性を調べ、実際のチョコやマーガリン中での油脂の状態を調べたり、チョコやマーガリンの品質が劣化する際に、どのように油脂成分が変化していくのか、変化を抑えるにはどうずれば良いかなどを調べています。

被災された生徒・先生方へ

たいへんなご経験をされましたが、皆さんは生きておられます。どうぞ今回の経験を糧(かて)に、亡くなられた方々の分まで大切に学び、生きてください。そして、いつの日か、心の傷が癒(い)えた後に、震災の経験を後輩たちに伝えていってください。今後のご活躍を期待しています。

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