どのようなことを学ぶかを決めよう。道は自然にひらかれる

角屋 重樹   国立教育政策研究所 教育課程研究センター基礎研究部
科学教育 /研究領域:PISA型学力、教科教育課程の開発、児童生徒認識論 ]

1.「なぜ学ぶのか」よりも「何を学ぶのか」を先に決めよう
皆さんは、「なぜ学ぶのか」を明確にしてから、高等学校や大学に入学することが大切だと思っている人が多いのではないでしょうか。私自身の人生を振り返ると、「なぜ学ぶか」についてはあまり明確でなかったと思います。ただ、いろいろなことを「知っていく」こと自体がおもしろかっただけです。したがって、私の経験からは「なぜ学ぶか」を問うよりも、「何を学ぶか」を明確にした方がよいと思います。

2.「何を学ぶのか」よりも「どのようなことを学ぶのか」を先に決めよう
このように言うと、まず、「何を学ぶか」を明確にしないと、高等学校や大学で学習ができないと思う人が多いのではないのでしょうか。私は、「何を学ぶか」をあまり明確でないまま、勉強していくうちに、徐々にそれらが明確になってきたと思います。

私は、現在、教育課程研究センター・基礎研究部という部署で仕事をしています。この部署は、あなた方が小学校、中学校、高等学校で勉強する学習内容について、どの内容を、どの程度勉強するのかを決めている、学習指導要領、つまり、これからの教育課程のあり方を研究しています。また、この研究テーマと別に、これから教師に必要な資質や能力を明らかにするという目的の「教員養成のあり方」を追究しています。このような、教育課程や教員養成のあり方についての研究は、私が「何を学ぶか」を明確にしていた結果ではなく、私の経歴から生じた研究テーマです。

このようなことから、「何を学ぶか」を明確にしないと、将来が決まらないのではありません。「どのようなことを学ぶか」という「方向」だけを決めておけば、高等学校や大学で学ぶことができると思います。

かどや・しげき/1949年生まれ。
親戚が小、中学校及び大学の教員であったので、高等学校の教師になろうと思い、広島大学教育学部に入学した。その後、教科教育学(理科教育)という研究分野がまだ未開であったので、広島大学大学院教育学研究科に進学し、教科教育学(理科教育)専攻博士課程単位取得し退学。博士(教育学)。広島大学助手教育学部(約2年)、文部省初等中等教育局教科調査官(8年)、広島大学大学院教授・教育学研究科教授(11年)を経て、現在、国立教育政策研究所教育課程研究センター基礎研究部。

被災された生徒・先生方へ

想像を絶するような苦難を体験しておられると思います。「がんばらなければならない」という気持ちは自分を苦しくすることが多々あります。「何とかなる」という気持ちをもって過ごすことも大切なことです。

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