対話こそ学び。「本当にそうなの?」が問題解決へ

大塚 裕子   公立はこだて未来大学 システム情報科学部 メタ学習センター
応用言語学 /研究領域:自然言語処理、談話分析、コミュニケーションデザイン ]

東日本大震災では多くの命が失われ、多くの物が崩壊し、多くのつながりが絶たれてしまいました。自然の驚異的な破壊力に、また、人が作り出した原子力発電所による放射能の甚大(じんだい)な被害に、みなさんは為すすべもないような虚脱感に襲われたかもしれません。

そんなときに大事なのは「無理をしないこと」。食べて、寝て、心身を休めて、虚脱感がなくなるのを待ち、少しずつ元気が出てきたら、そんな自分を否定せずに、自然体として受け入れてください。「自立」と「自律」の準備完了です。

次に人と話をしてみましょう。まずは身近な人から、可能ならば、年齢、性別、居住地、立場・経験、人種や国籍の異なる様々な人と。テーマは何でもけっこう。自分が感じたことを伝え、人が感じたことに耳を傾け、疑問に思ったことは尋ねてください。そしてまた、みなさんも人から問われたら、構えることなく、自分を守りすぎることなく、感じていること、考えていることを、再び伝えてみてください。

「そんなことが学ぶこと?」と疑問に思われるかもしれません。「自立」と「自律」をともなった対話のプロセスは、まさに学びの場です。自分の考え方とは異なる多様な価値観に気づき、それらを認め、そのうえで自分がどのように考えるかという指針をつくることができる大切な場です。

このような場は、震災復興においても、とても重要なはたらきをします。崩壊した街や地域を、どのような姿に創り上げていくのか、国のエネルギー政策を今後どのように考えていくのか、疲弊(ひへい)した経済状況をどのような計画で復活させるのか、これこそが復興のプロセスに必要な「問題解決」や「意思決定」です。当事者や関係者の話し合いが必要です。

みなさんも、様々な問題解決や意思決定の場に参加できるよう、いろいろなことに関心を持ち、調べ、得た知識に「本当にそうなの?」という疑問を持ち、それを解くために、また調べ考えることを繰り返し行ってください。

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おおつか・ひろこ/1968年千葉県生まれ。
大学で学んだ「日本語学」を就職後も仕事に。新聞や小説だけでなく、人々の意見や会話を分析し、コンピュータを使ってコミュニケーション支援をする方法を考え、社会に役立つシステムの開発につなげている。最近では裁判員裁判の評議など話し合いの場を設計提案する研究も。著書:大塚裕子・森本郁代編著『話し合いトレーニング 伝える力・聴く力・問う力を育てる自律型対話入門』ナカニシヤ出版, 2011

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